2012 Fiscal Year Annual Research Report
シミュレータ実装制御システムを備えた次世代プロセス用プラズマ源の研究
Project/Area Number |
23340178
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
八坂 保能 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30109037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹野 裕正 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90216929)
中本 聡 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 助手 (10198260)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | プラズマ / マイクロ波 / シミュレーション / 分布制御 |
Research Abstract |
LSI生産ラインのマイクロ波プラズマプロセス装置では、プロセス条件等から、経験則に基づいてプラズマ源の電力やガス供給のON/OFFフィードバック制御を行う。本研究では、先ず「結果としての装置出力量」から「それをもたらす装置入力量」を求めるための逆問題シミュレーションを確立して、プラズマ物理に立脚した制御アルゴリズムを構築し、次いで、独自開発のスロットアンテナが持つ放射電界分布調整機能を利用してプラズマの電力吸収分布を制御する手法を確立することが目的である。 既設マイクロ波プラズマ実験装置 (300 mmウェハ用) を改造した450 mmウェハ対応チャンバーにおいては、マイクロ波励起アンテナが相対的に小型であるため、生成プラズマ密度が装置中心部で高くなりがちである。そこで、リミタとしての金属円板を外挿するアンテナキャビティを用いることによってプラズマの中心ピークを抑え、半径方向分布の均一性改善の有効性を実証した。特に、Arガス圧力10mTorrにおいてマイクロ波電力を増減させることで半径方向分布の内外比、すなわち半径方向密度分布が微調整可能であることを示した。 金属円板をアンテナスロット板上に設置した円板内挿型アンテナキャビティを用いて生成したプラズマの分布評価及びそれを模擬した電界の数値計算を行い、この方式による半径方向分布の均一性改善を実験と数値解析の両面から実証した。 可変半径金属円板をアンテナスロット板上に設置した装置構造(可変R円板内挿型アンテナキャビティ)で生成したプラズマの分布評価を行った。可変R円板の円板径をプラズマ点火中に変化させることで半径方向分布の内外比をリアルタイムに変化させることに成功した。 逆問題シミュレーションに関しては、探索アルゴリズムとして2分探索法と逆計算法を用いたコードの高速化を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロ波アンテナからの放射電界分布制御に関して、2重同軸型と可変R円板内挿型について想定した性能が得られている。一方、逆問題シミュレーションに関しては、計算高速化のための並列化コーディングに多少時間を要しているが、計算機環境の更新により解決される見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
装置出力量を計算入力量とし、装置入力量に対応する計算出力量を出力とするハイパーシミュレータ開発において、順問題の観点からのアルゴリズム(電界強度分布に数値係数を付加し、計算結果と計測結果の密度分布等が一致するように数値係数を未定係数法により最適化)の改良を続ける。すなわち、電界強度分布に加えて、輸送係数にも数値係数を付加し、ガス供給分布を決定できるようにする。 基礎方程式群に装置出力量を与え、装置入力量を直接求める逆問題解法のハイパーシミュレータを開発する。有限要素法または差分法を用いて線形連立方程式に帰着させ、それを解くことで入力量を求める。これらに関しては新規開発する。 上記の2つの手法を比較しながら制作し、より優れた性能を示す方を採用する。 マイクロ波アンテナからの放射電界分布制御のための2重同軸型と可変R円板内挿型について、構造の調整や可動機構の改良を行い、性能と安定性の向上を図る。さらに、2重同軸型アンテナを単一電源で励振し、実効的な電界の重畳が可能かどうかを試みる。 均一な装置出力量を得るために必要な装置入力量を求めておき、現在の装置入力量を修正することで目標に近づくかを試験する。すなわち、ハイパーシミュレータ計算出力量をもとに、それに直結している電力とアンテナモード設定およびガス圧力を変化させて、目標値になるように装置制御した場合、装置出力量の目標分布到達率90%以上を目指して、各手法の優劣を評価しながら方式を選定・改良し、設定された課題の解決を図る。 この手法が、従来のフィードバック制御等に比べて格段に能力が高いことを示す。
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Research Products
(5 results)