2012 Fiscal Year Annual Research Report
2層同時イメージング測定による核融合プラズマの周辺揺動の研究
Project/Area Number |
23340184
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
大舘 暁 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (00270489)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | イメージング計測 / 周辺局在化モード |
Research Abstract |
本研究はプラズマ閉じ込め領域での不安定性と、それによる外側領域へのプラズマの輸送現象をVUVイメージングと可視光イメージングを使った可視化を行って研究することを目的としている。昨年度の研究によれば、VUVイメージング計測を使い、MHD不安定性によるプラズマの特異な掃出し現象が見出された。 計測器が測定している大型ヘリカル装置においては、プラズマの磁気軸位置が3.9mあるいは3.95mといった外寄せ配位においては大振幅の周辺局在モード(ELM)が発現するとともに、プラズマが吐き出される現象が観測されている。この時、VUV光の放射分布はどのELMに対してもいつも同一の特殊な形状であることが分かった。3Dプラズマ平衡コードのHINT2を使うと、プラズマ閉じこめ領域だけでなくプラズマの周縁部においても磁場を推定することができる。磁力線に沿って放射強度一定の仮定を用いてVUVイメージを局所放射強度分布に逆変換を試みると、掃出しは局所的な弱磁場側、すなわち、横長断面部における内側と外側に局在化していることが分かった。これはトカマク装置でのELMによるプラズマの掃出しが、弱磁場側である大半径外側に局在化していることと類似した現象である。大型ヘリカル装置でのELMは抵抗性交換型モードによるものと考えられていて、通常は局所的な磁場の強弱には影響されないと考えられる。外寄せ配位においては交換型モードがポロイダル方向に不均一に変形を起こすというのはこれまでにない新しい計測結果として注目される。他の計測による検証、可視光を使ったさらに外側領域での分布の変化についてさらに研究を進める必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度において検出器であるMCPの破損が起き、プラズマ実験での計測を十分に行うことができなかった。そのため、VUVカメラをMHD不安定性を計測できるだけの高速特性を持つように改造した結果を検証することができなかった。次年度は破損したMCPを交換しMHD不安定性の可視化測定が十分行えるよう実験準備を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までの研究により、プラズマの閉じ込め領域や、そのやや外側の領域での磁場配位推定が可能となり、それを使った接線像と局所放射強度の相互の関係については十分に明らかにすることができた。前年度に達成できなかったVUVカメラシステムの高速化とそれを使ったMHD不安定性の可視化測定を可能な限り早期に達成したい。MHD不安定性が大振幅化し、プラズマの掃出しを伴うような大規模な変化を起こすときにどのような非線形の発展をするのかについて直接的な計測を行いたい。特に前年度に明らかにした周辺局在化モードの非対称な変形とそれによるプラズマ・熱の掃出しについてはより時間分解能を上げた計測によって詳細な検討を行い物理機構の解明を目指す。 もう一つの研究のターゲットとしてはプラズマ周辺部のストキャスティックな領域でのMHD不安定性の構造計測があげられる。大型ヘリカル装置ではベータ値の上昇とともにストキャスティック領域に圧力勾配が形成され、圧力駆動型のMHD不安定性が観測される。この時に磁場のストキャスティックの度合いが不安定性の振幅、径方向の固有関数の構造などにどう影響するかを詳しく調べて、磁場が乱れている場合のMHD不安定性の性質について実験からのアプローチを行うことを予定している。
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Research Products
(6 results)