2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23350003
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
河内 宣之 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (50161873)
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Keywords | 原子・分子物理 / 励起分子素過程 / 量子もつれ |
Research Abstract |
水素分子の光解離により生成するH(2p)原子ペアの状態を確定するために、それが放出するLyman-α光子ペアの同時計数確率を光子の放出方向の関数として測定した(角度相関関数の測定)。合わせて入射放射光の偏光度を測定する手法を確立した。 ガスセルに水素ガスを満たし、そこに放射光を導入する。入射光軸に直交する面内に二つの光子検出器をおく。各々の光子検出器は、MgF2窓とmicrochannel plateにより構成する。これにより波長115-200nmの光子が検出される。Lyman-α光の波長は121.6nmであり、本実験で使用するエネルギー33.66eVの光子をH2が吸収することによる発光のうち、この波長範囲にあるのは、Lyman-α光のみである。直線偏光した入射光の偏光ベクトルεと光子検出器c,dの軸がなす角をΘ_c,Θ_dとする。Lyman-α光子ペアの同時計数確率をΘ_c,Θ_dの関数として測定し、角度相関関数を得た。 偏光成分により光の反射率が異なることを利用する偏光度測定装置を製作し、それを用いて入射放射光の偏光度を測定した。これは、角度相関関数を理論予測と比較するうえで、非常に重要となる量である。 実験装置の角度分解能と入射放射光の偏光度を考慮して角度相関関数の理論予測と実験結果を比較した。その比較に基づいて、H(2p)原子ペアの状態について議論した。理論予測で考慮した状態以外の状態も寄与している可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験は高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所放射光科学研究施設にて実施した。東日本大震災の影響により、平成23年4月-7月のユーザー運転が中止となった。しかし関係者の努力によりそれが10月に再開され、目標としたLyman-α光子ペアの角度相関関数が測定でき、さらに入射光の偏光度も測定できた。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように水素分子の光解離によって放出されるLyman-α光子ペアの角度相関関数を測定した。同時計数率が低く、長時間測定を必要とするので、データ点のばらつきが大きい。そこでリファレンス測定により、そのばらつきを抑えることを予定している。その有効性を検証したうえで、Lyman-α光子ペアの角度-時間相関関数測定に挑戦する。
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Research Products
(3 results)