2012 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子の立体異性体選別と衝突異性化反応の多次元立体効果の解明
Project/Area Number |
23350008
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大山 浩 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60192522)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 構造異性体 / 立体ダイナミクス / 生体分子 |
Research Abstract |
生体分子に代表される大きな分子は、結合部位の立体配座が変化することで膨大な数の立体異性体を生じ、その立体構造は、生物学的作用発現などの生体分子の性質や反応性を大きく左右すると考えられる。室温において相互に異性化可能な多数の立体異性体が共存する大きな分子の反応ダイナミクスを直接研究するには、個々の立体異性体を選別した分子線を発生し、立体構造を規定したもとでの衝突ダイナミクスの研究が必要不可欠となる。本研究は、大きな中性分子の立体異性体を自由に選別可能とする変調不均一電場を用いた新規手法を開発し、立体構造を規定した生体分子を用いた衝突異性化反応・衝突誘起鏡像異性体変換反応・エナンチオ選択性反応等の生体分子の立体ダイナミクスの直接観測という新規研究領域を創出することを目的とする。 本研究では、立体異性体の双極子モーメントの違いに注目し、これを利用して立体異性体を選別した分子線を発生させることを計画した。このため、初めに、可能な立体異性体のすべてをMD計算によりピックアップし、予想される個々の立体異性体構造とその双極子モーメントを量子化学計算により算出する手法を確立した。また、個々の立体異性体構造(非対称コマ分子)のシュタルクエネルギーを算出するプログラムを作成し、変調不均一電場を用いた立体異性体の選別シミュレーションプログラムを作成した。これらの理論結果に基づき、立体異性体選別に適した選別器の形状を有限要素法により設計し、シミュレーション結果に基づき最適化した後、これを試作した。その後の予備実験により、調整と改良をおこなった。 また不揮発性の生体分子のための高温高圧で使用可能な分子線源と反応セルを新たに試作した。加えて分子の画像観測検出システムを完成させた。 当初の計画に基づき、本研究を遂行するに必要な理論手法と実験装置の準備がほぼ整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を遂行するに必要不可欠な理論的手法と実験装置の準備がほぼ整ったと言えるため。
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Strategy for Future Research Activity |
必要な理論的手法と実験装置の準備をほぼ終えたので、今後、実際のモデル分子系に対して、本手法を適用し、さらなる装置の調整及び改良を行い、立体異性体の選別法を確立する。その後、実際の生体分子反応に適用し、立体異性体の選別を行う。
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