2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23350009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
天能 精一郎 神戸大学, システム情報学研究科, 教授 (00270471)
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Keywords | コード自動生成 / F12理論 / カスプ条件 / 論理推進演算子 / 四成分相対論 / QED補正 |
Research Abstract |
本年度の成果は大きく分けて,(1)一般的な結合クラスター理論のダイアグラム表現の自動生成,(2)デイラック・クーロンハミルトニアンに基づく四成分MP2-F12理論の実装,(3)MP3-F12法の新しい展開手法の開発の三点である。 (1)一般的な結合クラスター理論のダイアグラム表現の自動生成 一般的な結合クラスター理論に対する寄与をストリングス手法によって自動生成するプログラムを実装した。更に,ストリングスからダイアグラムへの変換を行い,その妥当性を確認した。 (2)ディラック・クーロンハミルトニアンに基づく四成分MP2-F12法の開発 ディラック・クーロンハミルトニアンを用いた四成分相対論ハートリー・フォック法の実装に次いで,四成分MP2-F12法の開発を行った。ノーペア近似に対する新規の強直交化射影演算子を提案し,更にヒレラースエネルギー汎関数に対する直接摂動論を適用する事により,電子間のカスプ条件を満たす新規のAnsatazを構築し,MP2-F12/A*(SP)法の範囲の実装を行った。 (3)MP3-F12法の新しい展開手法の開発 高次の摂動効果をF12理論で取り込む為に,従来の結合クラスターラグランジアンに基づく展開法と異なる拡張された論理推進演算子による定式化を行い,MP3-F12法で収束性を数値的に確認した。新しい展開法は,従来の手法と比較してより速やかな収束性が得られる事と,4次以上の高次相関でもF12の寄与を取り込めるというメリットがあるという事が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
結合クラスター理論の自動生成のプロトタイプ,4成分相対論的MP2-F12法,新規MP3-F12法の実装が完了し,初年度としては当初の計画通り,あるいはそれ以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,有効なの般的結合クラスターコードの自動生成に移る。そこで得られた自動生成技術を基に,F12法と相対論的電子状態理論へと拡張を行う。目標としている実験対象は相対論効果が見える原子化エネルギーや励起エネルギーであり,空間対称性や時間反転対称性を考慮に入れた,開殻系の取り扱いも視野に入れる。現在,相対論的電子状態理論の計算時間は,分子求積法を用いても非相対論の場合の数百倍から千倍規模となっている。密度フィットや射影法を用いて,実用的なコードの開発を目指す。
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Research Products
(5 results)