2011 Fiscal Year Annual Research Report
相互作用の分類・評価と機能開発のためのAIM2元関数解析法の確立と応用
Project/Area Number |
23350019
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
中西 和郎 和歌山大学, システム工学部, 教授 (80110807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 聡子 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (00294306)
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Keywords | 理論有機化学 / 有機典型元素 / 構造有機化学 / AIM解析 / 水素結合 / ファン・デル・ワールス相互作用 / X線結晶構造解析 / 拡張超原子価結合 |
Research Abstract |
新規化合物の開拓には、弱い相互作用を巧みに自在に操ることである。弱い相互作用の本質を的確に解析し、分類・評価する方法が不可欠となる。Baderらが提案したAIM(Atoms-in-Molecules、法は、相互作用の分類に活用されつつあるが、本質的な活用は容易ではない。最近我々は、実験化学者の立場から実験結果を自らのイメージで解析・評価できることを念頭に、AIM2元関数解析法を考案・提唱した。この解析法が物質科学や機能性物質の創製・開発における静的および遷移状態等の動的特性を解明するのに有用であることを実証し、種々の現象に応用することが目的である。この成果は実験化学者が容易に自らの系の相互作用を解析・評価ができ、高性能な物質の創製への挑戦の強力な助けとなる。 平成23年度は以下を中心に研究を行った。 1.水素結合は、実態はあるが相互作用の分類には含まれていない。二量化や分子内水素結合、分子間水素結合、DNAの二重らせん構造に重要な役割を果たす多水素結合(モデル化を活用)やC-H---π相互作用、新しい非共有結合として着目されているハロゲン結合についてPOM法およびNIV法を適応し、AIM2元関数解析が有用な手段であることを実証した。 2未だ明らかにされていない水素結合とファン・デル・ワールス相互作用との境界を明らかにし、その付近の特性解明を行った。 3超原子価結合および拡張超原子価結合は、様々な化合物の物性や化学反応、触媒機構に重要な役割を果たしている。相互作用系のモデルとなる超原子価結合および拡張超原子価結合を有する化合物群の合成を行った。 4合成した化合物群の物性測定を行った。 5.合成化合物および既報化合物の計算化学による物性計算とAIM解析を行った。 6有機化学、生化学、薬学、物性物理学等における既報のX線結晶構造解析のデータの収集と整理を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的は、ほぼ順調に達成できており、論文にもまとめることができている。しかし、水素結合とファン・デル・ワールス相互作用との境界をはっきりさせるために必要な計算法を見出したが、実際の計算は完結していない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
水素結合とファン・デル・ワールス相互作用との境界をはっきりさせるための計算を完結させることについては大きな問題はないと認識している。申請書に記載の2012年度の計画通り推進していく予定である。
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Research Products
(18 results)
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[Journal Article] Synthesis, Structures and Ab Initio Studies of Selenium and Tellurium Bis (carbodithioates and carbothioates)2011
Author(s)
S.Kato, K.Tani, M.Ishida, J.Nonogaki, M.Ebihara, S.Hayashi, W.Nakanishi, O.Niyomura, F.Ando, J.Koketsu
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Journal Title
Dalton Transactions
Volume: 40
Pages: 8156-8169
DOI
Peer Reviewed
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