2012 Fiscal Year Annual Research Report
軸・らせん異種二重キラリティーを有する新分子群の創製と新機能開拓
Project/Area Number |
23350021
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
稲永 純二 九州大学, 先導物質化学研究所, 学術研究員 (50091244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石塚 賢太郎 九州大学, 先導物質化学研究所, 学術研究員 (20531578)
鬼束 聡明 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (60403937)
古野 裕史 九州大学, グリーンアジア国際リーダー教育センター, 准教授 (90335993)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 合成化学 / 超分子化学 / 分子認識 / 動的らせんキラリティー |
Research Abstract |
本研究では,静的キラリティーと動的キラリティーの協同効果がもたらす新現象の発見を基に、軸・らせん異種二重キラリティーを有する新分子群を創出し、その動的らせんキラリティーの外部刺激による制御をとおして新機能の開拓を図ることを、また、大局的には超分子キラリティーに関する新概念やその利用のための新方法論を獲得してキラリティーの化学と技術を格段に進歩させることを目的としている。本年度は(R)-ビナフトールをその3,3’-位でカップリングした(R)-BINOLオリゴマーの合成を行い、8量体までのボトムアップ型合成に成功した。2量体については、その両末端にブロム置換基やフェニル置換基を有する化合物を、さらにはオクタヒドロビナフトール誘導体の2量化で得られるヘキサデカヒドロビナフトール2量体の合成に成功し、それらの分子認識能およびキラリティー識別能について検討した。その結果、これらがNMRキラルシフト化剤や、低原子価金属錯体を用いる不斉ピナコールカップリング反応の優れた不斉配位子になることを見出した。前年度までに、3量体が自己組織化により一次元水分子鎖を取り込んだ超分子チューブを形成することを見出しているが、超分子体が比較的不安定なため、その安定化ならびにキラルチューブ部分の固定化を狙って、アルキル置換基ならびにオレフィン性置換基等の側鎖の導入を試みた。しかし現在のところ成功には至っていない。ビナフトール2量体については、その動的不斉配位子としての更なる有効性を探った結果、マロン酸ジエステルの不斉Michael反応にモノカルシウム塩が優れた不斉触媒として機能することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究分担者の所属変更に伴う離脱やエフォート削減、さらには外国人研究員の帰国等で当初の見込より研究体制が小さくなったため、研究のスピードが初年度に比べ大きく低下した。実情を踏まえた着実な研究遂行姿勢が重要であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究体制の変更を踏まえ、8量体までのビナフトールオリゴマー分子について詳細な物性データを揃えることをまず優先する。また、これらの分子認識能やキラリティー識別能など、基本的な動的機能の解明に力を注ぐ。その上で、動的キラリティーの特徴を捉えた誘導適合型の不斉配位子、さらには有機分子触媒としての能力について新しい可能性を追求する。
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Research Products
(7 results)