2011 Fiscal Year Annual Research Report
発光ビラジカルのダブルレーザー解析と「有機ラジカルEL」の開発
Project/Area Number |
23350023
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
池田 浩 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (30211717)
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Keywords | π電子 / ラジカル / 光反応 / 電子移動反応 / 有機EL / 反応機構 / ラジカルカチオン / 熱発光 |
Research Abstract |
平成23年度は,ダブルレーザーフラッシュフォトリシス(DLFP)法により,基質2-(1-ナフチル)-2-フェニル-1-メチレンシクロプロパン(1)の光誘起電子移動反応による基底状態のトリメチレンメタン型ビラジカル(^32^<・・>)の発生と,その光励起による励起状態の^32^<・・>*の発生を達成し,室温・溶液中における^32^<・・>*の発光解析を検討した. ジクロロメタン中,N-メチルキノリニウムテトラフルオロボレート-トルエン共増感系で,第一レーザー(Nd:YAG,THG,λ_<EX>=355nm)を照射し,過渡吸収スペクトルを観測したところ,λ_<AB>=385nmに^32^<・・>の過渡吸収が観測された.そこで,第一レーザー照射の500ns後に第二レーザー(λ_<EX>=355nm)を照射すると,λ_<PL>=470nm付近に発光ピークが観測された.この発光波長は,γ線照射-昇温実験における^32^<・・>*の熱ルミネッセンス(TL)発光波長(λ_<TL>=479nm)に近く,DLFP法によっても^32^<・・>*の発光が観測されていると考えられる.TLとDLFPでは発光スペクトル波形に若干の違いが認められた.本研究ではこれを^32^<・・>*の配座異性体の数とその相対的割合が温度によって異なるためであると考え,参考として^32^<・・>の配座異性体の密度汎関数理論計算を行った.DLFP法による蛍光量子収率(φ_F),蛍光寿命(τ_F)の最終データ得るにはまだ至っていない.実験を更に進め,γ線照射-昇温実験や有機ラジカルELでは決定できない発光特性を明らかにする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付申請書に記載した平成23年度の研究実施計画の項目(1)~(9)であり,それぞれの達成度を総合的に勘案して,上記の様に判断した. 【平成23年度の研究実施計画の項目とその達成度】 (1)合成(池田)⇒従来法の他に,予定にはなかったが別法を開発した. (2)γ線誘起熱ルミネッセンスとX線誘起熱ルミネッセンス⇒終了した. (3)ダブルレーザー法による発光スペクトルの観測,発光量子収量測定,発光寿命測定⇒現在,検討中である. (4)量子化学計算⇒ほぼ終了した. (5)置換基効果の評価⇒ほぼ終了した. (6)ラジカル発光を有機ELに応用するメリットの考察⇒ほぼ終了した. (7)高効率「有機ラジカルEL」への考察⇒ほぼ終了した. (8)「有機ラジカルEL」の作製と物性評価⇒現在,検討中である. (9)総括⇒現在,検討中である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度は当初の計画より研究がやや遅れたので,実験を担当する学生の数を3人に増やして遅れを挽回する.研究の方向性については問題が無いので,平成24年度についてもほぼ計画通りに研究を遂行する.特にダブルレーザー法については,扱う反応系を増やしてより広く実験条件を検討する.
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Research Products
(19 results)