2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23350024
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
櫻井 英博 分子科学研究所, 分子スケールナノサイエンスセンター, 准教授 (00262147)
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Keywords | バッキーボウル / スマネン / C3対称 / フェノール / 求電子置換反応 / ボウル反転 |
Research Abstract |
本研究は、バッキーボウルの周縁部に位置選択的に官能基を導入する手法を開発することにより、有機電子材料や、分子スケールデバイス材料など、目的に応じた分子設計を可能とするためあ道筋をつけることを目的とする。具体的には、官能化C3対称キラルバッキーボウルの自在合成法の確立、お椀型構造に立脚したバッキーボゥル独特の物性の評価、C3対称以外の基本対称構造を有するバッキーボウルの合成手法の確立、を3年間の研究計画としている。 今年度は、官能化C3対称キラルバッキーボウルの合成法として、ホルミル基、およびヒドロキシ基(フェノール)を導入したバッキーボウルの合成法を完成し、論文として報告した(Chem.Lett.)。これらの官能基を足がかりとして様々な官能基が導入可能であり、原理的には自在合成法が確立したといえる。今後は具体的な置換基導入の具体例を検討する。 またさらに、C3対称以外の置換スマネンの合成法にも取り組み、求電子置換反応を用いたスマネン今の官能基導入法においては、ハロゲン化、ニトロ化、ベンゾイル化、ホルミル化などにおいて、予想される置換体の合成、単離に全て成功した。また、それらの位置異性体の生成比は、HOMO densityによって推定可能であることが、計算によって明らかとなった。さらにこれら合成した置換体とボウル反転挙動の相関については、MO6-2Xを用いるDFT計算を用いることで、ある程度予測可能であることも明らかにした。以上の結果については、24年度以後に論文として発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初掲げた3つの目標の全てにおいて進展が見られたので、バランスよく研究が進行していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は実際に合成した化合物を使った物性評価等に研究が進展することが期待されるが、その際、人数不足の問題が生じる可能性がある。幸い、24年度4月より、当該研究に従事する大学院生が入学する予定なので、一定の教育期間修了後は、研究の進捗も期待できる。
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