2011 Fiscal Year Annual Research Report
動的秩序を基盤とする発光性クロミック金属錯体の創製
Project/Area Number |
23350025
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 昌子 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (80214401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 浩徹 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (60335198)
小林 厚志 北海道大学, 大学院・理学研究院, 助教 (50437753)
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Keywords | 金属錯体 / 発光 / クロミズム / 動的秩序 / 環境応答 |
Research Abstract |
本研究は,集積・配列・クラスター化ることにより特異な発光を示す白金(II)や銅(I)錯体等の"集積発光性金属錯体"に注目して、より高度な動的秩序系の構築を目指すものである。この目的のため、クラスタリングや配位高分子化、あるいは液晶化を行うことにより、自己復元能をもち構造再構築の可能なより進化した動的秩序系を構築する。これにより、圧力、光、小分子、媒質等の外的刺激や環境要因に鋭敏に応答するクロミック現象の発現と、高感度、高選択的なセンシング機能の開発を狙う。本年度、設定3課題について以下の研究を行った。 1)クラスタリングにより制御されたクロミック錯体の構築.ハロゲン架橋銅(I)複核錯体から熱的二量化による強発光性四核クラスター生成を、粉末X線回折により追跡し、構造変換過程を明らかにした。また、一連の[Cu_4I_4L_4]型クラスター錯体を合成し、発光特性を明らかにした。 2)配位高分子化による構造復元クロミック系の構築.[Pt(CN)_2(dcbpy)]^<2->(H_2dcbpy=4,4'-dicarbxy-2,2'-bipyridine)と種々の金属陽イオン(Na^+,K^+,Ca^<2+>,Mg^<2+>,Zn^<2+>)との配位高分子形成に成功した。カチオンの性質に依存した選択的ベイポクロミック特性が見出され、X線構造と発光スペクトルに基づいて蒸気応答メカニズムを明らかにした。 3)柔軟集積構造体の構築とセンシング機能の導出.長鎖アルキル基を搭載した配位子を含む白金(II)錯体及び金(III)錯体、[M(bdt)(dCnbpy)]^<n+>(M=Pt,Au,H_2bdt=benzenedithiol,dCnbpy=4,4'-dialkyl-2,2'-bipyridine)の合成に成功した。カチオン性金錯体においても興味深い分離積層構造が見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記1)の課題については、銅クラスター錯体は大量合成にも成功し多様な測定、試験が可能となった。一方、ヒドラゾン銅錯体のクラスター試料は少量が生成するのみで合成法の改善が必要である。2)の課題では平面型錯体を基盤とする多様な配位高分子が構築できた。3)では、合成途中では不安定な金(III)錯体をメタセシス反応により収率よく合成できることを見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)の課題については、クラスーのサイズについても検討を行い、クラスター構造と発行波長や発光量子収率の関係を調べる。また、銅クラスターをベースに金属イオンで連結した配位高分子化を試み、さらなる高量子収率化を狙う。2)の課題では、銅(I)、コバルト(III)、及びルテニウム(II)錯体配位子を用いて、それぞれ、四面体ベース、八面体ベースの多孔性配位高分子の構築を行い、蒸気や温度等の外部刺激応答クロミック特性を調べる。3)の課題については、今後、合成した金(III)錯体のレドックス応答性等の物性を明らかにしていく。
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Research Products
(24 results)