2011 Fiscal Year Annual Research Report
キラル錯体化学を基盤とした時空間制御型分子スイッチングシステムの構築と機能化
Project/Area Number |
23350029
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
三宅 弘之 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00271198)
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Keywords | 金属錯体 / らせん / 不斉 / 置換活性 / 外部刺激 / アニオン / ペプチド / 分子運動 |
Research Abstract |
金属錯体を活用した情報変換や分子認識など新規機能の発現には、その配位立体構造を刺激応答により自在にコントロールする必要があるが、らせんの方向や運動速度も含む錯体化学的アプローチはきわめて限られていた。 本基盤研究では、キラルな置換活性金属錯体を基盤とした瞬時な構造変換運動を活用して、多重入出力型キラル錯体から生体高分子の構造と機能制御を含む新しいキラリティースイッチング型錯体システムの開発を目指している。本年度は次の研究成果が得られた。 (1)キラル錯体の動的構造変換を基盤としたマルチスイッチング錯体の開発 キラル4座配位子の両末端に補助配位部位を導入し、錯形成や酸-塩基、レドックス駆動によるキラル錯体分子の伸縮スイッチングを実現した。中心金属としてコバルトイオンを用い、様々な補助配位部位との組み合わせにより、金属中心の酸化還元電位をコントロールすることができた。酸-塩基や硝酸アニオンを外部刺激として、伸縮やらせん反転スイッチングを実現し、さらに、適切な酸化剤と還元剤をトリガーとした、らせん反転と伸縮運動が連動する瞬時な多重入力-多重出力を実現した。この分子運動を吸収スペクトル色や円二色性スペクトルの情報変化として検出し、かつそれらの運動速度のコントロールも可能となった。 さらに、(2)ユーロピウム(III)や亜鉛(II)中心を持つキラルな金属錯体を合成し、水溶液中におけるpH応答型発光スイッチング錯体を開発した。さらに、(3)ニッケル(II)錯体の酸-塩基刺激によるジオメトリー変換を活用した動的錯体スイッチングシステムも構築し、新しい外部刺激に応答するキラルスイッチング錯体の開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時空間制御型キラル金属錯体の構築と、構造スイッチングについて、初期システムの構築を行い、研究計画に沿った具体的な成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
時空間制御型分子スイッチングシステムの開発をさらに推進するため、 (1)錯体ヘリシティーを活用したキラリティーの集積化 (2)錯体フォルダマーを活用したキラリティーの集積化とナノスケール運動制御に加え、(3)新しい外部刺激に応答するキラルスイッチング錯体の開発 を行い、さらに多方面からのアプローチを行う。
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Research Products
(8 results)