2012 Fiscal Year Annual Research Report
キラル錯体化学を基盤とした時空間制御型分子スイッチングシステムの構築と機能化
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23350029
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
三宅 弘之 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00271198)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 金属錯体 / らせん / 不斉 / 置換活性 / 外部刺激 / アニオン / ペプチド / 分子運動 |
Research Abstract |
金属錯体を活用した情報変換や分子認識など新規機能の発現には、その配位立体構造を刺激応答により動的にコントロールする必要がある。本基盤研究では、キラルな置換活性金属錯体を基盤とした瞬時な構造変換を活用して、多重入出力型キラル錯体から生体/人工高分子の構造と機能制御を含む新しい時空間制御型キラリティースイッチング錯体システムの開発を目指している。その課程において、本年度は次の研究結果が得られた。 (1)錯体ヘリシティーを活用したキラリティーの集積化 キラリティーの集積化と増幅を図るため、新たな錯体ヘリシティー創出部位を導入したキラルなビスアミノ酸配位子を合成した。ビスアミノ酸部位での錯体形成により誘起された錯体ヘリシティー情報が、新規に創出された中央錯体部位へ伝達し、新たにキラリティーが誘起できた。さらに、末端錯体ヘリシティーの反転に伴い中央錯体ヘリシティーも反転したことから、新しいキラリティー伝達・変換システムが構築できた。 (2)錯体フォルダマーを活用したキラリティーの集積化とナノスケール運動制御 伸縮運動を行うキラル錯体ユニットを連結させた複核遷移金属錯体からなるキラルフォルダマーを構築した。ナノレベルでの錯体分子の伸縮運動が可能となった。 (3)新しい外部刺激に応答するキラルスイッチング錯体の開発 生体分子であるアミノ酸アミド部位における溶媒和や金属中心への配位性外部基質の配位が錯体ヘリシティーの反転に重要である。種々の溶媒との相互作用を系統的に精査し、その影響を明らかにしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規な時空間制御型キラル金属錯体の構築と、構造スイッチングやキラリティー伝達のシステム化を行い、研究計画に沿った具体的な成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
時空間制御型分子スイッチングシステムの開発をさらに推進するため、以下の研究計画に従い、多方面からのアプローチにより強力に研究を進める。 (1)キラル錯体を活用したキラリティーの集積化と動的制御 キラリティーの集積化と増幅を図るため、三次元的に配列された複数のキラル錯体から新たな錯体部位へキラル情報を集中的に伝達できる、新しいキラリティー集積/変換システムを構築し、さらに組み上がったキラル錯体を用いてキラル情報の伝達時間制御を目指す。 (2)光応答性キラル錯体の創製 アゾベンゼンなど光応答する置換基をキラル配位子に組み込み、光スイッチング特性を示すキラル錯体を構築する。アゾベンゼン中の窒素原子はオルト位のアミド水素と分子内水素結合を形成するので、アミド基との立体反発をアゾ基の光異性化により制御できる。アミド基まわりの立体が錯体キラリティーに影響を及ぼすので、光異性化によるキラル錯体の構造スイッチングを詳細に検討する。 (3)キラル錯体フォルダマーの構築と運動制御 キラルな遷移金属錯体を多核化し、らせん型フォルダマーを構築する。キラル情報の伝搬におよぼす多核化効果とスイッチング性能を明らかにする。 配位子の合成は申請者が既に開発した方法を組み合わせて行い、構造変換の追跡は円二色性分光法やX線構造解析、発光、振動円偏光二色性測定などを必要に応じて駆使し詳細に検討する。
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Research Products
(18 results)