2012 Fiscal Year Annual Research Report
オンライン熱分解-高速液体クロマトグラフィー直結システムの開発
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23350032
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
大谷 肇 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50176921)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 熱分解分析法 / 高分子分析 / 高速液体クロマトグラフィー / ポリブチレンテレフタレート |
Research Abstract |
ポリマーの解析に広く用いられている熱分解ガスクロマトグラフィー(Py-GC)では、熱分解により生じた分解物の内、GC分離の段階で気相状態として存在できる、分子量、沸点、及び極性などが比較的低い揮発性分解物を分析対象としている。一方、それらが高い難揮発性分解物については、GC分離の段階で気相状態として存在し得ないため、たとえ生成したとしても解析できないという問題があった。こうした難揮発性分解物の解析を可能にするためには、分析部をGCから高速液体クロマトグラフィー(HPLC)へ置き換えることが解決策の一つとして考えられる。 この目的に対して、平成24年度は、熱分解装置内での試料の熱分解と生成物の捕集、および捕集した分解物を溶液化してHPLCへ導入するまでの操作をオンラインで行うことのできるインターフェイスを、具体的に設計・試作した。このインターフェイスでは、熱分解加熱炉の下部にステンレス製二重構造の分解物の捕集部を設けており、この部分にポリマーの分解物を冷却捕集する。その後、分解物が捕集された内管を所定の位置に移動させることにより、加熱炉からのガス流路を遮断して、新たに溶媒通液用流路に接続する。そののち、内管内に溶媒を通液することにより、捕集されていた分解物を溶解回収する。具体的に、ポリブチレンテレフタレートなどを試料として、このインターフェイスにより試料の熱分解、分解物の捕集、溶解を行い、回収された熱分解生成物をマトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法などにより解析した結果、GCでは測定できないかなり分子量の大きな分解物が生成・回収されていることを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で開発するシステムの心臓部であり、開発の成否のカギを握る、ポリマーの熱分解生成物を、気相状態から液相状態へとオンラインで変換するためのインターフェイスを設計・試作し、その基本動作を確認したところ、ほぼ狙い通り生成物の捕集・回収ができることが確認された。こうしたことから、最終的なシステム構築に向かって、順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる平成25年度は、いよいよ熱分解部とHPLCとの間を、24年度に開発したインターフェイルを介して直結し、熱分解HPLCシステムを確立する。その基本動作は、具体的なポリマー試料を本装置に導入することにより確認しつつ、必要な改善・改良を進めて本システムの完成度を高めていく。
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Research Products
(2 results)