2011 Fiscal Year Annual Research Report
高性能3次元蛍光X線分析装置の開発と鑑識科学への応用
Project/Area Number |
23350034
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
辻 幸一 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30241566)
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Keywords | 放射線、X線、粒子線 / 解析・評価 / 可視化 / 共焦点顕微鏡 / 鑑識科学 / 蛍光X線分析 / 非破壊分析 / 深さ方向分析 |
Research Abstract |
実験室において高い空間分解を有する共焦点3次元蛍光X線分析装置を開発し、鑑識科学分野に応用することを目的とする。当初の計画では、エネルギー分散型検出器に、加え、新たに波長分散型検出器を3次元配置で配置することを計画したが、助成金額が不足したことと、シミュレーションの結果、検出感度の面でも波長分散型検出器を応用するのは困難であると判断するに至った。そこで、これまでの課題であった軽元素分析の感度を向上することに重点を置き、真空仕様での高空間分解能の3次元蛍光X線分析装置の開発を進めることにした。新たに真空下での共焦点配置の考案、真空チャンバーの設計、真空下での各種位置決めステージの選定などを行った。試料は水平置きとし、1次X線は試料表面に45度入射し、蛍光X線は45度検出角で測定できるように設計した。また、真空条件でのチャンバーの変形の影響を最小限にするための工夫を行った。また、空間分解能の評価を行うために、シリコンウエハー上に500nm厚さの数種類の金属薄膜試料を作成した。これらを用いて空間分解能のエネルギー依存性を評価した。その結果、AuL線の蛍光X線エネルギーにおいて15ミクロンと真空下では世界最小レベルのスペックを実現できた。特に、Al,Mg,S,Pなどの軽元素の検出に大変有効であることを確認した。いくつかの層状構造を有する鑑識試料(例えば、自動車事故現場に残された自動車塗装片など)を、開発した装置を用いて測定し、非破壊的に深さ方向の元素分布プロファイルを得ることに成功した。これまで大気中では測定が困難であった軽元素の非破壊元素分析は鑑識化学分析において重要であり、大きな成果と言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初目的とした波長分散型X線検出器の導入は総助成金額の不足や感度不足の観点から見送った。しかし、真空仕様の共焦点型3次元蛍光X線分析装置の開発により、これまで検出さえ困難であった軽元素の分析が行えたことから、アプローチの方法に修正があったものの、当初の目的は達成できた。加えて、装置の試作と分析特性の評価を終えつつあり、実際の鑑識試料の分析にも着手し、成果が得られつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は固体標準試料を用いて、各元素毎に検出限界の評価を行う。並行して、兵庫県科捜研の研究員とも連携しながら、実際のいくつかの鑑識試料の分析に応用していく。元素マッピングは大変有効な情報を与えるが、実用化においては測定時間の短縮が課題である。そこで、測定の高速化についても取り組む。
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[Presentation] Sample preparation of sea water for TXRF analysis2011
Author(s)
T.Yoshioka, Y.Imanishi, K.Tsuji, Y.Shimizu, T.Yamada, H.Takabe, T.Doi, K.Akioka, M.Arai
Organizer
The 14th International Conference on Total Reflection X-ray Fluorescence and Related Methods
Place of Presentation
Dortmund, Germany(poster)
Year and Date
20110606-20110609
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