2011 Fiscal Year Annual Research Report
バイオミメティックなアプローチによる高次機能触媒の精密設計
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23350039
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坂倉 彰 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 准教授 (80334043)
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Keywords | 合成化学 / 有機化学 / 触媒 / 不斉合成 / バイオミメティック / 酸・塩基 / ブレンステッド酸 |
Research Abstract |
1.優れた疎水機能を持つ分子カプセル型アンモニウム塩触媒を用いた脱水縮合反応の開発 嵩高く疎水的なN,N-ジアリールアミンを精密に設計することにより,硫酸とから調製されるアンモニウム塩触媒を用いて,水中でエステル脱水縮合を促進することに成功した。本触媒は,比較的親水的な基質のエステル脱水縮合も効率よく促進できることが特長であり,界面活性剤型触媒であるDBSAに比べても活性が高い。また,本触媒について詳細に検討した結果,ピロ硫酸アンモニム塩が活性種であることを明らかにした。 2.キラルポスホニウム塩触媒を用いたバイオミメティックポリエン環化反応の開発 生合成経路に倣ったプロトン付加型不斉ポリエン環化に有効な新規ブレンステッド酸触媒として,キラルリン(III)化合物と強ブレンステッド酸からなるホスホニウム塩を開発することに成功した。本触媒は,2-ゲラニルフェノール類のポリエン環化反応を効率よく促進することができ,対応する三環性化合物を高ジアステレオ選択的,高エナンチオ選択的に合成することができる。また,本反応を利用して4a-epi-ウゴンスチルベンBの不斉合成を達成した。 3.バイオミメティックな酸・塩基二重活性化機構を利用した不斉アシル化反応の開発 独自に開発したL-ヒスチジンを基本骨格とするスルホンアミド触媒を用いることにより,グリセロール誘導体の不斉アシル化による非対称化に成功した。これまでにグリセロール誘導体の非対称化に成功した例はほとんどない。本反応はキラルビルディングブロックの合成に極めて有効である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
疎水性アンモニウム塩触媒については,当初計画していた硫酸塩触媒の設計から大きく発展し,ピロ硫酸塩触媒という前例のない新規触媒野開発に成功した。また,不斉アシル化についても,従来極めて困難であったグリセロール誘導体の非対称化に成功した。これらの結果から,今後の研究のさらなる発展も期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究を継続し,さらに発展的に研究を遂行する。 具体的には,昨年度開発することに成功したピロ硫酸塩触媒を活用し,新たな高効率合成プロセスの開発を目指す。また,バイオミメティックな酸・塩基二重活性化機構を利用した不斉アシル化触媒についても,新たな合成プロセスへの応用を検討する。 新たな研究として,弱い二次的相互作用を基盤とするキラルルイス酸触媒の精密設計と新規環化付加反応の開発に取り組む。
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Research Products
(25 results)