2012 Fiscal Year Annual Research Report
バイオミメティックなアプローチによる高次機能触媒の精密設計
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23350039
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
坂倉 彰 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (80334043)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 合成化学 / 有機化学 / 触媒 / 不斉合成 / バイオミメティック / 酸・塩基 / ブレンステッド酸 |
Research Abstract |
1. 優れた疎水機能を持つアンモニウム塩触媒を用いたエステル加水分解法の開発 これまでに水中で機能するブレンステッド酸として嵩高く疎水的なN,N-ジアリールアンモニウム塩を開発している。本触媒を用いることにより,穏和な条件下での水中エステル加水分解法の開発に成功した。水酸化ナトリウムなどの塩基を用いる従来法では,塩基が生成物であるカルボン酸と塩を作ってしまうため,塩基を化学量論量使用する必要があるが,本アンモニウム塩は酸触媒であるため,触媒量で反応を促進することができる。さらには従来法ではアミノ酸エステルの加水分解においてラセミ化を引き起こしてしまうという深刻な問題があったが,本アンモニウム塩触媒を用いればラセミ化を全く引き起こすことなく光学的に純品のカルボン酸を高収率で得ることができた。 2. α-ヘテロ原子置換型β-アルキルアクロレインの不斉Diels-Alder反応の開発 α-ヘテロ原子置換型アクロレインの一つとして,α-(アシルチオ)アクロレインを合成し,その高エナンチオ選択的Diels-Alder反応の開発に成功した。本反応は,レイナマイシンなどの生物活性物質の骨格構築法として有効である。さらに,多置換型ジエノフィルとして,α-ヘテロ原子置換型β-アルキルアクロレインを設計し,その合成法の開発に成功した。研究代表者らが開発したキラルトリアンモニウム塩触媒を利用して,そのエナンチオ選択的Diels-Alder反応の検討を行い,Diels-Alder付加体を高収率,高エナンチオ選択的に得ることができた。これらの付加体は,複数の置換基を持つ生物活性物質の短工程骨格構築法として有効である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
疎水性アンモニウム塩触媒については,高効率加水分解法の開発へと発展させることができた。また,キラルアンモニウム塩触媒を用いる不斉合成法として,新規ジエノフィルを用いるDiels-Alder反応の開発を開発することもできた。これらの結果から,今後の研究のさらなる発展も期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究を継続し,さらに発展的に研究を遂行する。 具体的には,これまでの研究成果を基盤としてキラルピロリン酸エステル触媒や弱い二次的相互作用を基盤とするキラルルイス酸触媒を精密設計することにより,新しい不斉炭素―炭素結合形成反応の開発を進める。 さらには,これまでに開発した高機能触媒やそれを用いた高選択的合成反応を利用して,複雑な骨格をもつ生物活性物質の高効率合成法の開発にも取り組む。
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Research Products
(23 results)