2011 Fiscal Year Annual Research Report
電子不足イミン類への異常付加を活用する高効率的含窒素化合物の合成
Project/Area Number |
23350040
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
清水 真 三重大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30162712)
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Keywords | α-イミノ酢酸エステル / 3成分カップリング反応 / イント・リン-3-オン / テトラヒドロ-4-キノロン / 有機アルミニウム試薬 / アントラニル酸メチル / アサ・-Brook転位 / トリメチルシリル酢酸エチル |
Research Abstract |
現在までに得られている予備実験結果をもとにα-イミノ酢酸エステルに対して求核試薬および求電子剤を作用させることにより、3成分カップリング反応に基づくアミノエステルを得る方法を探り、関連する反応を活用してイント〓リン-3-オンあるいはテトラヒドロ-4-キノロン誘導体のワンポット合成に展開できる事を明らかにした。具体的には以下の成果を挙げた。 (1)グリオキシル酸エステル由来のイミンに対して有機アルミニウム試薬を作用させることにより、N-アルキル化された中間のエノラートを効率良く発生させ、さらにアルデヒドを作用させ、連続的な3成分カップリング反応を見出した。特に添加剤として2-メトキシ-N、N-ジメチルエチルアミンを加えて反応を行ったところ、収率、ジアステレオ選択性ともに向上することを見出した。 (2)アントラニル酸メチル由来のα-イミノエステルに対し、求核剤としてシリルアルミニウム試薬を用いることて〓C-シリル化に続くアサ〓-Brook転位を経て系内て〓アルミニウムエノラート種を調製し、続く環化反応により目的のイント〓リン誘導体を良好な収率で得られることを見出した。イント〓リン-3-オン骨格は抗腫瘍性抗生物質として知られている天然物て〓ある(+)-Duocarmycin Aに見られる骨格て〓あり、その全合成への応用についても検討中である。 (3)イミノマロン酸ジエチルから調製したα-イミノエステルに対し、求核剤としてα-トリメチルシリル酢酸エチルリチウムエノラートを用いることでイミノ炭素上への付加に続き1,3-aza-Brook転位が進行し、続く環化反応により目的の2,2,3-三置換テトラヒドロ-4-キノロンの合成に成功した。また本反応では、同時にインドリン-3-オンも生成することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
α-イミノ酢酸エステルに対して求核試薬および求電子剤を作用させることによる3成分カップリング反応は添加物などの効果を顕著にすることができ、論文に仕上げている段階である。イント〓リン-3-オンのワンポット合成はようやくモデル基質での反応性の検討が終わり、現在(+)-Duocarmycin Aの全合成への応用を始めたところである。テトラヒドロ-4-キノロン誘導体の合成反応はイント〓リン-3-オンの合成検討中に見出した新反応である。現在基質等広く展開中であり、発展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究は概ね順調に遂行することができた。3成分カップリング反応では、空気酸化等のために今まで合成が困難であった1,2-アミノアルコールを安定に取り出す方法も開発でき、現在不斉合成への展開を行っているところである。また、イント〓リン-3-オンのワンポット合成に関しては天然生理活性化合物の(+)-Duocamlycin Aの全合成に着手したところで、24年度中には大筋の合成経路を確立したい。イミニウム塩を経由する多成分カップリング反応は現在4成分まで集積できることが分かったので、さらに5成分および6成分の集積化にもチャレンジしていきたい。
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Research Products
(14 results)