2012 Fiscal Year Annual Research Report
新奇多環状トポロジー高分子の精密設計に基づくブレークスルー機能の創出
Project/Area Number |
23350050
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
手塚 育志 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (80155457)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 高分子合成 / 高分子トポロジー化学 |
Research Abstract |
K3,3グラフは4環が3重に縮合した構造の特殊なトポロジーとして知られ、幾何学的視点から興味深い構造である。また、自然界には類似した構造の環状ペプチドが存在し、そのトポロジーが熱的耐性の向上に影響していると考えられている。このようなトポロジーとそれに起因する物性の差異との関係の解明のために、その構築法を確立することは重要である。今回、K3,3グラフ構築のため、6分岐テレケリクスを原料とした合成スキームを考案した。しかし、環化反応において反応点の増加による多量体の形成などにより、分離や解析が困難となることが予想される。そこで、本研究では、単一サイズの分岐高分子の末端官能基化により分岐テレケリクスを合成し、静電相互作用による自己組織化と共有結合化により、K3,3グラフを初めとする多環縮合型トポロジーの構築を行った。また、トポロジーの異なる高分子の流体力学的体積の違いに注目し、分取SECによる分離を検討した。 まず、主鎖にエイコサンジオールを用いて、保護、エステル化、脱保護やエーテル化の一連の反応により、末端にOH基を有する6分岐単一サイズ高分子を合成した。次に、無水トリフルオロメタンスルホン酸により、トリフラートエステル末端へと変換した後、N-フェニルピロリジンを反応させ、N-フェニルピロリジニウム塩末端を有する単一サイズ6分岐テレケリクスを合成した。そして、6分岐テレケリクスをジカルボキシレートやトリカルボキシレートとともに加熱還流することで末端イオン性部位を共有結合へと変換し、6分岐デンドリティックトポロジー、αグラフを含むトリサイクリックトポロジー、さらにK3,3グラフを含むテトラサイクリックトポロジーを得た。また、分取SECにより各トポロジー異性体生成物の単離を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要中に示したの高分子トポロジーの構築は1H NMR、MALDI-TOF MSにより確認された。SEC測定によりピークトップ分子量が減少したことから環化の進行が示された。そこで、リサイクル分取SECを行ったところ、始めは明確に分離していなかった生成物が、15から20サイクル後にそれぞれ3、および、2成分のピークに分離した。各フラクションの1H NMR、MALDI-TOF MS解析結果から、トポロジー異性体の関係にあることが確認された。現在、本成果の論文発表準備を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
これらの成果を踏まえ、さらに複雑なの高分子トポロジー設計に挑戦する。そのひとつであるγグラフ高分子は、これまでに確立した静電相互作用による自己組織化と共有結合化およびクリックケミストリーを適用し、双環状手錠型高分子の特定の位置にアリル基を導入した高分子前駆体を合成し、さらにメタセシス縮合環化反応することによって合成できる。また同様に、アリル基を導入したスピロ型3環状高分子前駆体を合成し、さらにこれをメタセシス縮合環化すると、これまで高分子では例の無いK3,3グラフを含む4環3重縮合トポロジーの構築も実現できると考えられる。
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