2011 Fiscal Year Annual Research Report
分子カプセルを利用した3次元規則性超分子構造体の作成と機能開発
Project/Area Number |
23350051
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山岸 忠明 金沢大学, 物質化学系, 教授 (90220251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生越 友樹 金沢大学, 物質化学系, 准教授 (00447682)
高田 晃彦 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (20254427)
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Keywords | 環状化合物 / 凝集状態制御 / ゾル-ゲル転移 / 両親媒性 / 分子カプセル / 反応制御 |
Research Abstract |
1)目的: フェノール系環状オリゴマーであるカリックスアレーンは、特異的な立体構造と官能基の導入が容易であることからホストーゲスト相互作用を基づく機能性材料の構成要素分子として注目されている。我々は、これを凝集させることによる新規機能の開発と応用を試みている。今回、環状分子内に水酸基と長鎖アルキル基を有する両親媒性レゾルシンアレーン(amp-CR)を構成要素として分子集合体の形成を行い、親水性と疎水性のバランスおよび外部環境を制御することによってカリックスアレーン骨格の凝集状態を変化させることを中心に検討を行った。 2)実験: amp-CRは、溶媒に加熱・溶解させ、室温まで冷却することでゲルを形成する。この溶液の種類、濃度や温度によるゾルーゲル転移挙動を目視、偏光顕微鏡およびDSC測定により観察し,ゲルの形成機構と凝集構造について検討した。 さらに、この凝集体を分子カプセルとして利用することで、反応を制御することを試みた。 3)結果と考察: ジエチレングリコール(DEG)にamp-CRを加熱・溶解させたところ、ある温度域でゲル化が起きることがわかった。さらに、アルキル鎖を制御することでゾルーゲル転移挙動に変化が見られた。特に,アルキル鎖が偶数の時にゲル化が促進された。今回のゲル化は、amp-CRと溶媒分子との水素結合と、疎水性部位であるamp-CRの長鎖アルキル基同士の凝集によるネットワークの形成により引き起こされたと考えられる。amp-CRとDEGとの水素結合は、^1H NMRにおけるamp-CRの水酸基プロトンの化学シフトが変化することからも支持された。以上により、溶媒分子とamp-CRの水酸基間の水素結合が基本となって、ネットワーク中で特異な構造を形成していることが示唆された。 さらに、カリックスアレーン骨格を凝集させることで分子カプセルとして、シリコンの生成反応について検討したところ、粒径を制御することが可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分子カプセルの形成を確認することができ、本研究の第1段階が達成できたと考える。分子カプセルの応用として、シリコン微粒子の形成を確認できたことから、次の段階への準備が整ったと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)分子カプセルの形成挙動を詳細に確認するとともに、分子カプセルを3次元的に配列させる手法を開発する。 2)分子カプセルを反応場として利用することをさらに進める。 3)分子カプセルを3次元的に配列させることで、反応場としての立体的な制御を行う。
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