2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23350054
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 紳三郎 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50127049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 裕之 京都大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (90343235)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 単一分子 / 高分子鎖 / 薄膜 / ダイナミクス / 蛍光顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究では、高分子鎖に導入した蛍光色素分子一個一個の運動をリアルタイムで直接観察することにより、高分子のダイナミクスを直接計測することを目的としており、昨年度までに単一分子の位置座標(x, y)と配向角(θ, φ)を計測することで、分子一個の並進運動と回転運動の双方を追跡できる顕微鏡の開発を行った。ここで(x, y)は焦点を合わせた撮像条件で、一方、(θ, φ)は焦点を変えたデフォーカス条件で撮像を行うため、対物レンズを物理的に駆動しなくてはならず、高速な測定を行うことができなかった。本年度では、顕微鏡画像のイメージスプリッタ光学系を構築することで、位置と配向を同時に計測可能なシステムの構築を行った。顕微鏡のカメラの手前にリレーレンズを構成し、その間に透過率70%の無偏光ビームスプリッタを設置した。7:3に分割された信号光はチューブレンズを通してCCDカメラ上の異なる位置に結像する。ここで透過成分にもう一枚のレンズを挿入することで、各光路を経由する画像の焦点位置をシフトさせる光学系を構築した。CCDカメラの右側に位置座標解析用のフォーカス画像、左側に配向座標解析用のデフォーカス画像を同時に取得することを可能にした。これにより、ワンショットで単一蛍光分子の位置を15 nmの空間分解能で、配向方向を3°の角度分解能で取得することを実現した。また分子のz座標もフォーカス・デフォーカス画像の両者を解析することで50-100 nmの分解能で決定することができる。このように単一蛍光分子について高精度で(x, y, z, θ, φ)のパラメータをリアルタイムで追跡可能な顕微鏡システムの開発に成功した。さらにダイクロイックミラーを用いることで、発光波長を分離してイメージングすることも可能にした。また主鎖中央に蛍光ラベルしたポリメタクリレート鎖の試料を準備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた他波長励起検出をH25年度に先送りした一方、H25年度に計画していた位置・配向同時計測を前倒しで達成できたことで、全体としての進捗状況は概ね計画通りである.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、次年度においては顕微鏡システムの他波長検出を実現するとともに、蛍光ラベル高分子の観察を行うことで高分子鎖の運動の解析を行う。
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