2012 Fiscal Year Annual Research Report
高分子集合体の構造解析の精密化とバイオマテリアルへの応用に向けた基盤的研究
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23350055
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 尚弘 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10196248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋爪 章仁 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70294147)
寺尾 憲 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (60334132)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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Keywords | 自己組織化高分子 / 両親媒性高分子 / ポリイオンコンプレックス / 高分子ミセル |
Research Abstract |
1.データ解析に必要な基礎理論の構築 ポリアニオンとポリカチオンの溶液を混合したときのポリイオンコンプレックスの形成動力学を定式化した。また、感熱応答性ブロック共重合体が熱水溶液中で形成する高分子集合体は、サイズの小さい星型ミセルと内部濃度が均一な球状濃厚相の混合物であることが判明した。そこで、そのような混合系に対する散乱関数を定式化した。 2.ポリイオンコンプレックスの形状と形成機構 最も簡単な化学構造を有する高分子イオンとして,ポリアクリル酸(PA)とポリビニルアミン(PV)を選び、様々なPAとPVの混合比、濃度、イオン強度の水溶液におけるポリイオンコンプレックスの形状の時間変化を静的・動的・電気泳動光散乱法やNMRによって調べた。形成されたポリイオンコンプレックスはほぼ中性で、化学量論的な複合体が形成された。またポリイオンコンプレックスのサイズは、アニオンとカチオンが当モルの混合物のときに最大となった。これら得られたデータを上記の理論と比較し、PAとPVが水溶液中で形成された中性ポリイオンコンプレックスが会合し、その会合体に溶液中に存在する高分子過剰成分が吸着することにより、コロイドサイズのポリイオンコンプレックスが安定化されるという形成機構に従っていることが明らかになった。 3.感熱応答性ブロック共重合体が形成する高分子集合体のモルフォロジー 感熱応答性ブロック共重合体、ポリ(N-イソプロピルアミド)-b-ポリ(N-ビニルピロリドン)が、水溶液中で加熱することにより形成される高分子集合体の構造を明らかにした。特に、光散乱と小角X線散乱より求めた広い散乱ベクトルにわたる散乱関数を上記の散乱関数理論と比較して、サイズの小さい星型ミセルと内部濃度が均一な球状濃厚相の各成分のサイズと重量分率を見積もった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験、理論とも順調に進み、両者の比較より種々の高分子集合体の精密な構造解析技術を格段に進歩させ、明確な構造特性化が行われている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は、計画通り進行しており、最終年度である次年度も当初の計画通り研究を進める予定である。ただし、アニオン性モノマーとカチオン性モノマーをランダムに重合させた両性高分子電解質をある企業より入手したので、その高分子が水溶液中で形成する高分子集合体についても追加して研究を行う予定である。
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