2012 Fiscal Year Annual Research Report
磁性半導体ナノ結晶の磁気光学効果増強のための内部・表面磁気構造制御
Project/Area Number |
23350057
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷川 靖哉 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80324797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伏見 公志 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20271645)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ナノ結晶 / 磁気特性 / 希土類 / 機能材料 / 表面 |
Research Abstract |
EuXナノ結晶のスピン状態を積極的に制御して磁気光学効果の向上(および機能解明)を行うためには、EuXの内部&表面の磁気構造に着目した研究が必要となる。この着目点を基盤として、本研究では、1) 結晶内部から磁気構造制御する金属ドープEuXナノ結晶研究、2) 色素分子によるEuX表面スピン状態制御研究、3) EuX組織体の形成研究(結晶面間相互作用発現)を行い、EuX内部および表面の磁気構造制御を推進している。これらの研究に関して、以下の成果を得た。 1)金属ドープEuXナノ結晶の検討:EuXナノ結晶中に常磁性金属イオンがドープされたEuX:Mナノ結晶(Mは、鉄イオン、コバルトイオン、およびマンガンイオン)の新規合成に成功し、得られたナノ結晶の磁気特性計測およびファラデー効果測定により金属イオンの磁気的相互作用が発現していることを明らかにした。特に、マンガンイオンをドープしたEuXナノ結晶はファラデー効果の増強が観測された。 2)磁気構造制御EuXの組織構造形成:EuXナノ結晶の集合体形成にともなう強磁性的相互作用発現を目的として、EuXナノ結晶が自己組織化された巨大集合体の合成に成功した。この集合体形成関しては、アントラセンを含むジチオール分子(ジチオール部位:エタンジチオール、ヘキサンジチオール、デカンジチオール)を用いて検討を行い、そのアントラセン部位の発光挙動を観察することで、EuXナノ結晶集合体形成の時間変化における形成観察に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EuX組織体の形成研究(結晶面間相互作用発現)に関して、あたらに導入したアントラセン含有ジチオール分子(ジチオール部位:エタンジチオール、ヘキサンジチオール、デカンジチオール)を用いて、EuXナノ結晶集合体形成の時間変化における形成観察に成功した。 これまでEuXナノ結晶の会合体形成時間変化観察は困難であったが、新しく合成されたジチオール分子によって、その会合対形成挙動の観察に初めて成功した研究成果は大きい。今後、このモニタリングシステムを発展させて、大きさの異なったアントラセン含有ジチオール分子による会合体形成の詳細解析が可能になると考えられる。 以上のことから、本研究課題の当初研究目的の達成度について、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
新しく開発されたたアントラセン含有ジチオール分子(ジチオール部位:エタンジチオール、ヘキサンジチオール、デカンジチオール)をもちいて、EuXナノ結晶とAuナノ結晶が自己集積した「EuX:Auナノ会合体」の形成挙動を観察する。具体的には、アントラセン部位における発光スペクトルの時間変化および発光寿命変化を観察し、会合対形成能に関する評価を行う。 また、得られたEuX:Auナノ会合体をポリマー薄膜中に導入し、ファラデー効果および磁気測定評価を行うことで、会合体の機能発現に関する評価を行う。 以上、会合体の形成挙動と磁気機能評価を連動することで、EuXの会合体形成における機能発現メカニズムの解明を行う。
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