2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23350060
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
菅原 正 神奈川大学, 理学部, 教授 (50124219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高倉 克人 鈴鹿工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60396843)
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Keywords | ベシクル型人工細胞 / ポリメラーゼ連鎖反応(PCR) / 自己生産 / 自己複製 / バディング / バーシング / DNA鎖長効果 |
Research Abstract |
1.DNAを内封したベシクル型人工細胞の自己生産ダイナミクス: ベシクル内でのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)条件の最適化により、高い頻度でDNA複製を達成し学術論文として発表した [Soft Matter 7, 3750 (2011)]。また、DNAの複製とベシクルの自己生産が連携する人工細胞に関し、主にフローサイトメトリーによる自己生産ダイナミクスの統計的解析を行ない、それらの成果を論文として発表した [Nature Chem. 3,775 (2011)]。 2.双性イオン型膜分子の合成と自己生産ベシクル系の調製: 双性イオン型人工膜分子の合成に成功した。さらにこの膜分子のホルミル基末端に、親水基をイミン結合によって担持させた膜分子前駆体の合成法も確立した。この膜分子がジャイアントベシクルを形成することを確認した。 3.新しい膜組成をもつ自己生産ベシクルの調製とダイナミクスにおけるDNA鎖長の効果: ポリエチレングリコール(PEG)鎖を親水部に持つ脂質(DSPE-PEGn: 重合度 n = 22, 113)を、ベシクル膜に約1 mol%程度添加することで、DNAと膜との相互作用を立体的かつ電子的に穏やかに阻害した。その結果、これまでバディングのみであった膜の変形の様相が異なり、優先的にバーシング様の変形が起こることを見出した。 4.自己生産ダイナミクスにおけるDNA鎖長の効果(繰り越し研究分の成果): 上記の膜組成をもつベシクルに鎖長の異なる鋳型DNA(374, 1164, 3200 塩基対)を内封し、増幅後、膜分子前駆体を添加し、共焦点レーザー走査型顕微鏡観察により、ベシクルの分裂ダイナミクスの違いを詳細に観測した。その結果、自己生産ダイナミクスにDNA鎖長の明確な効果があることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DNAの自己複製とベシクルの自己生産が化学的に連携して進行するベシクル型人工細胞に関する論文を、世界に先駆けて発表できたことは、本申請研究にとって、もっとも重要な成果だと考えている。予算繰り越し研究で、内封DNAの鎖長(塩基対の数、フォスフェートの数)とベシクル型人工細胞の自己生産ダイナミクスとの相関が確認できたことは、今後の進展に繋がる成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
DNAの鎖長とPEG鎖を担持したベシクル型人工細胞の自己生産ダイナミクスに相関が認められたので、PEG鎖の膜界面での構造形成(マッシュルーム、ブラシ)、ベシクル膜に対する被覆率などを精査し、そこに見られる相互作用とダイナミクスの関連を物理・化学的に解明することが必要であろう。
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Research Products
(13 results)