2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23350060
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
菅原 正 神奈川大学, 理学部, 教授 (50124219)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ベシクル型人工細胞 / アニオン性膜分子 / 膜表面電荷 / 枯渇問題 / ベシクル融合 / ベシクル輸送系 / 回帰性 / 繰り返し自己生産 |
Research Abstract |
1. アニオン性膜分子の合成 ヘテロリン酸ジエステルからなるアニオン性膜分子を、アミダイト試薬にオレイルアルコールと、p-ホルミルフェニル-10-ドデカノールを反応させることで合成した。今後、膜分子前駆体を合成し、これを添加することでアニオン性ジャイアントベシクル生産系としての挙動を確認する。 2.ベシクル膜電荷の制御によるベシクル間分子輸送 膜組成として2種のリン脂質(POPC, POPG)を異なる比率で保有する、標的および運搬ハイブリッドベシクルを用意し、pHを酸性にするとそれぞれのベシクルの膜表面が反対の電荷を帯び、ベシクル接合とそれに引き続く融合が起こることを見出した。このことを利用して、運搬用のラージベシクルに内包した水溶性蛍光プローブが、標的のジャイアントベシクルに輸送されたことを、蛍光スペクトルの測定により確認した [Chem. Lett. 41 789, (2012)]。この成果は、ベシクル輸送で涸渇基質を標的ベシクルに導入する道を拓いたものといえる。 3.クレオチド枯渇ベシクルへの原料輸送による自己生産ベシクルの回帰性獲得 この方法を用いて、ヌクレオチドを内封した運搬用ベシクルを、原料が枯渇した自己生産後のベシクルに融合させ、融合後のベシクルにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を施したところ、融合したベシクルの内部でDNAが増幅したことを内封した蛍光プローブの発光により確認した。これによりベシクル型人工細胞の自己生産ダイナミクスが回帰性を獲得したことになる。さらに、このベシクル分散液に、膜分子前駆体を添加することで、ベシクルの分裂が起こることも確かめられた。この結果により、繰り返し自己生産するベシクル型人工細胞の基盤が確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の成果により、ベシクル融合により枯渇原料をベシクル型人工細胞に輸送することが可能になり、自己生産ダイナミクスが回帰性を獲得した。本研究の主眼である「繰り返し自己生産するベシクル型人工細胞の構築」の基盤が確立したことは、本研究の最終目標達成の上で重要である。
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Strategy for Future Research Activity |
カチオン性膜分子を含むベシクル膜と相互作用することで、ベシクル分裂を誘発するDNA以外のアニオン性ポリマーの探索が遅れているが、本年度にベシクルの膜電位を計測するゼータポテンシオメータを配備したので、25年度には、この課題について集中的に研究を行うことが出来ると期待している。
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Research Products
(16 results)