2011 Fiscal Year Annual Research Report
低表面ガラス転移温度を有するフォトクロミック膜表面における金属原子の挙動
Project/Area Number |
23350066
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
辻岡 強 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (30346225)
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Keywords | フォトクロミズム / ガラス転移 / 金属蒸着 / 表面拡散 / エレクトロニクス / 鉛 |
Research Abstract |
本研究は、フォトクロミック・ジアリールエテン(DAE)表面の光異性化状態に依存した金属蒸気原子の選択的堆積現象に関連して、着色状態表面における異常非堆積現象、及び巨大Mg結晶成長の原因と関係する金属原子の表面拡散などの挙動を調べることを目的とする。 今年度は、まず低ガラス転移点(Tg)状態表面と金属蒸着性の関連を調べるため、様々なTgを有する高分子表面で多種の金属堆積性を調べた。その結果、ポリジメチルシロキサンの粘性表面においてMg以外にMn、Pb、Al、Inなど多種の金属が非堆積効果を示すことがわかった。次にDAEにおいて蒸着条件を変えて同様の検討を行った結果、Pbにおいて蒸着時の基板温度を室温より10℃程度上げるだけで、顕著に蒸着選択性が発現することが判明した。'また、従来のMgの場合は下地のDAE膜厚が数nmレベルでも蒸着選択性が発現していたのに対し、Pbでは10nmレベル以上の膜厚が必要であることもわかった。一般に膜厚が極めて薄いときは離散的なアイランド状となることが知られているが、この結果はその様なDAEアイランドの間隔により金属原子の表面拡散・離脱が影響を受けていることが示唆している。またこの現象の産業面への応用として、微細な薄膜ヒューズの作成を行った。本薄膜ヒューズでは、数十ミクロンの小ささで、数十μAレベルの高感度な遮断電流が実現できることが判明した。 蒸着選択性を示すDAEは消色状態では室温付近の低いTgを有する。これを用いれば、表面に凸凹を有する基板上にDAE膜を形成すると、光照射により所望の部分のみで低Tg状態に基づく,平坦化を行うことができる。今年度は、金属蒸着選択性とこの平坦化効果の光学素子への応用として、透過光と反射光で異なる回折を示す多機能回折格子の考案・実証も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基板温度、ジアリールエテン膜厚などの実験条件と、金属原子の表面における挙動との新たな知見が判明した。これにより、多くの金属種において蒸着選択性を発現するための条件が明らかとなった。さらにこれらの結果により、産業面での応用範囲も大幅に広がる見通しが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
ジアリールエテンの膜厚、特にアイランド構造とそれが表面金属原子の挙動に与える影響をさらに詳しく調べる。またジアリールエテン結晶表面における金属蒸気原子の離脱現象と表面状態の関係を調べるため、新たに表面電気伝導による評価手法を検討する。
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Research Products
(36 results)
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[Journal Article] Synthesis, Photochromic, and Electrical Properties of Diarylethene Derivatives Having 9-Carbazolyl or 2-(1,3,4-Oxadiazolyl) Group as Carrier Mobilization Sites2011
Author(s)
K.Tani, K.Kubono, K.Hori, K.Shoji, G.Shiga, M.Yamamoto, T.Tsujioka
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Journal Title
Chemistry Letters
Volume: 40
Pages: 1267-1268
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] 1,2-Bis[5-(9-ethyl-9H-carbazol-3-yl)-2-methylthiophen-3-yl]-3,3,4,4,5,5-hexaf luorocyclopentene2011
Author(s)
K.Kubono, T.Synmyouzu, K.G.oto, T.Tsujioka, K.Tani
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Journal Title
Acta Cryst
Volume: E67
Pages: o2194
DOI
Peer Reviewed
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