2011 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアの動的機能解明のための多機能型二光子励起蛍光プローブの開発
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23350068
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
川俣 純 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40214689)
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Keywords | ミトコンドリア / 二光子吸収 / バイオイメージング / 蛍光プローブ |
Research Abstract |
本研究は、ミトコンドリアを1週間以上観察し続けることができる蛍光プローブを開発すること、さらに(1)二光子励起により三次元空間内での動的挙動が解明できる、(2)pHや共存イオンの変化により蛍光のOn/Offが制御できるというさらに高度な機能を付加した蛍光プローブを開発することを目的としている。 平成23年度は、ミトコンドリアに選択的に吸着する分子の設計指針の構築に取り組んだ。予備実験に用いたフルオレンとは異なる蛍光性発色団を持つ化合物を種々合成し、ミトコンドリアへの選択的な吸着の有無を検討した。その結果、ビフェニルの誘導体は、フルオレンの誘導体と同様に優れた選択的吸着特性を持つことを明らかとした。また、ビフェニル誘導体も比較的二光子吸収断面積が大きいことも明らかとなり、基本骨格を選択する上での自由度が向上した。 このビフェニルの誘導体は、ミトコンドリアの膜電位を低下させる脱共役剤(CCCP)を添加すると、ミトコンドリアを離れ核に移行するという、これまでの蛍光プローブにはない特性を有することが明らかになった。ミトコンドリアの活力が下がると膜電位は低下する。そのため、本年度の研究で見いだされたビフェニルの誘導体は、新しいミトコンドリア診断薬として有望である。そこで、移行メカニズムの解明と、それに基づいた診断機能を強化した誘導体の開発に着手した。 また、二光子吸収特性の評価に必要な光源を整備するため、高出力グリーンレーザーを購入し、フェムト秒パルス・チタンサファイアレーザーの整備、ならびにチューンアップを行った。このことにより、試作した試料を実際の二光子励起バイオイメージングに試用できる準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りに研究を進めることが出来ている。また、平成24年度後半から着手する予定であった、吸脱着の制御が可能で、かつ、吸脱着がモニターできる色素の開発にも既に着手でき、成果が芽生え始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の研究により見いだされた、膜電位をモニターできる蛍光プローブ、ビフェニル誘導体は、ミトコンドリアの診断薬として有望である。一方、このビフェニル誘導体には、二光子励起が可能な波長が短く、一般に二光子蛍光顕微鏡に用いられる波長、800nm付近では二光子吸収の効率が不十分であるなどの改善すべき点がある。そこで、膜電位の変化によりビフェニル誘導体がミトコンドリアに吸脱着しているメカニズムの解明を進め、、モニター機能を損なわずに800nm付近での二光子励起蛍光効率を高めたプローブ分子の開発を行う。 また、開発したプローブの、二光子励起バイオイメージングへの試用を行い、その結果を分子設計にフィードバックすることで、実用的な観点で真に優れた蛍光プローブの開発を進める。
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Research Products
(8 results)