2012 Fiscal Year Annual Research Report
高活性二酸化炭素水素化触媒の創製とその実用化に向けた検討
Project/Area Number |
23350073
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
阿部 孝之 富山大学, 水素同位体科学研究センター, 教授 (90241546)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 環境 / 二酸化炭素 / 触媒 |
Research Abstract |
1)CO2メタネーション反応の低温化・高活性化に対する反応機構の検討 多角バレルスパッタリング法によるCO2水素化反応(CO2+3H2→CH4+H2O)の低温化に対して、密度汎関数理論に基づいた第一原理計算によりRuクラスター担持TiO2触媒のスラブモデルを構築することで以下の反応経路を見出した。まずCO2はRuクラスター上に吸着し、COとOに乖離する。CO2吸着のエネルギー障壁はバルクRu表面上より低く、Ruクラスター上でのCO2吸着が容易となることが示唆される。乖離したCOは水素化を繰り返し、その後、OHを切り離すことでCH2を生成する。このCH2が水素化を更に繰り返すことでCH4が生成する。なお、反応経路全体の中でCO水素化、およびCH4生成の二つの素反応が高いエネルギー障壁を持ち、これらのエネルギー障壁の値はRuナノ粒子上で大きく低下していた。つまり、CO2メタン化反応の低温化はRuナノ粒子によるCO水素化とCH4生成のエネルギー障壁の低下に起因すると考えられる。 2)メタノール水蒸気改質反応に及ぼす担持金属粒子サイズの影響に関する検討 CO2水素化反応において、担持金属の粒子サイズが触媒活性に影響することが明らかになっている。この結果を基にメタノール水蒸気改質反応(CH3OH+H2O→3H2+CO2)における金属粒子サイズの影響を検討した。その結果、多角バレルスパッタリング法でAuを担持すると反応温度は粒子サイズの減少とともに低温化した。また、Auの粒子サイズと反応温度の関係は担体の種類に影響され、CeO2を担体に用いた場合、ZnOに比べ反応温度が約100℃低下することがわかった。なお、Au/CeO2触媒ではAuの平均粒径が4.3 nmから2.2 nmになるとメタノール水蒸気改質反応の活性化エネルギーは74.6 kJ/molから66.4 kJ/molに変化する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的:1)CO2メタネーションについては、第一原理計算によりRu/TiO2触媒上での反応経路の概略を明らかにしている。研究目的:2)反応の低温化・高活性化に対する反応機構の検討 では、研究項目1で得た反応経路における素反応のエネルギー障壁の比較から、触媒の高活性に及ぼすRu粒子サイズの効果を明らかにしつつある。上記2項目に加え、本研究ではメタノール水蒸気改質反応が金属粒子サイズに依存することも見出している。以上の結果より、研究課題の目標はほぼ達成されていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
CO2水素化反応では、これまで担持金属や担体の種類により触媒活性が変化することを予備的な検討で明らかにしている。このことに関し、第一原理計算で得られた反応経路と高活性要因を基にCO2水素化反応と担持金属・担体の関係を系統的に検討していく。一方、本研究で検討したメタノール水蒸気改質反応はCO2水素化反応に使用される水素製造において頻繁に使用されているが、現状の反応温度は200℃以上と高温である。つまり、将来的な「水素エネルギー社会」の実現の面からメタノール水蒸気改質反応触媒の高性能化が必要であり、この反応が担持金属の粒子サイズの減少により低温化するという結果は重要な知見である。このことに関し、第一原理計算を用いてメタノール水蒸気改質反応における粒子サイズと反応機構の関係を解明していく。
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Research Products
(9 results)