2013 Fiscal Year Annual Research Report
高性能有機トランジスタおよび太陽電池を与える新規なN型有機半導体の創出
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23350088
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山下 敬郎 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (90116872)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 有機半導体 / 有機太陽電池 / 有機トランジスタ / 機能材料 / 電子受容体 / 合成化学 |
Research Abstract |
分子軌道エネルギー準位およびヘテロ原子間の相互作用を考慮して、ヘテロ環化合物を基本骨格としたπ拡張電子系を分子設計して合成した。エネルギー準位は吸収スペクトルとCVで測定した酸化還元電位から求めた。分子構造ならびに分子間の相互作用は単結晶X線構造解析で明らかにし、薄膜構造はX線回折ならびにAFMで解析した。電界効果半導体特性は、蒸着法もしくは溶液法で作製した薄膜で評価した。ヘテロ環化合物としてはジケトピロロピロール(DPP)、ベンゾチアジアゾール(BTAZ)、ジシアノピラジノキノキサリン(DCNPQ)などを用いた。DPPではトリフルオロメチルフェニル基やベンゾイル基などの電子受容性の置換基導入により電子受容性を高めた。また、分子間の水素結合により分子集合させ、テープ状のネットワークを構築した。BTAZでは二量化によりπ系を拡張した。DCNPQではフェニル基やチエニル基を置換するとトランジスタの電子移動度が大幅に向上した。これは分子間の電荷移動相互作用で分子配列が制御された結果と解釈される。また、DCNPQにトリイソプロピルエチニル(TIPS)基などの嵩高い置換基を導入して有機溶媒への溶解性を向上させた。 ポリチオフェンP3HTをp型半導体ポリマー、新規に合成したアクセプターをn型半導体として用いて薄膜太陽電池デバイスを作製した。DPPではチオフェンをスペーサーとしてトリフルオロメチルフェニル基を置換した誘導体が最も高い変換効率を示した。BTAZ二量体では、4つのトリフルオロメチルフェニル基を有する半導体が0.4%の光電効果を示した。一方、ドナーーアクセプター型化合物をエネルギー準位の制御により色素増感太陽電池の色素に応用した。ドナー部としてジフェニルピラニリデンを用いた色素では変換効率5%を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規なn型有機半導体の開発に成功し、トランジスタ特性を評価した。置換基の導入により溶媒への可溶化もできた。 バルクヘテロの薄膜太陽電池を新規に開発したn型半導体を用いて溶液プロセスで作製して、光電効果を測定し、太陽電池として機能することを確認出来た。 ヘテロ環の特性を利用してエネルギー準位を制御して新規なドナーーアクセプター型化合物を合成し、色素増感太陽電池の色素として応用することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
新規なn型有機半導体の開発研究を継続して行い、構造と物性の関係を明らかにして、その結果を分子設計にフイードバックさせて、半導体特性の向上を図る。次元性の高い構造の構築を目指して、分子配列の制御にヘテロ原子間の相互作用を積極的に利用する。 薄膜太陽電池の研究では変換効率の向上を目指す。そのために、π電子系をさらに拡張して分子間の相互作用を増大させることなどにより、高い移動度を示す二次元性の構造を有する半導体を合成する。均一な薄膜の作製のために長鎖アルキル基の導入などにより、溶解度が高く、結晶性を押さえた分子を開発する。 ドナーーアクセプター型の分子ではアクセプターのユニットしてフェナントロリンやピリジニウムなどのヘテロ環を利用して、吸収の長波長化とLUMO軌道の制御を図る。
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Research Products
(25 results)