2012 Fiscal Year Annual Research Report
超安定型アニオン交換膜の創製とアルカリ形燃料電池の高性能化
Project/Area Number |
23350089
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
宮武 健治 山梨大学, クリーンエネルギー研究センター, 教授 (50277761)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 燃料電池 / アニオン伝導 / 高分子電解質 / ブロック共重合体 |
Research Abstract |
本年度はアニオン導電性電解質膜の更なる安定性向上を目的として、前駆体ポリマーとしての安定性が高い主鎖構造を用いトリメチルアンモニオ基以外のイオン交換基の安定性を比較した。疎水性、前駆体親水性オリゴマーおよびブロック共重合体は求核置換重合法により合成し、NMRスペクトルから目的構造であることを確認した。ブロック共重合体は、GPC測定より高分子量体(重量平均分子量が40 kDa以上)が得られたことを確認した。クロロメチル化反応はクロロメチルエーテルを用いたフリーデルクラフツ反応により行い、1H NMR測定よりクロロメチル基を定量的に導入したことを確認した。モデル反応により最適化した様々な三級アミンの四級化反応条件をクロロメチル化ポリマーに適用することで、異なるイオン交換基を持つアニオン交換膜の合成に成功した。アニオン交換膜の水中における導電率は、イオン交換基に依存していた。この依存性は、イオン交換基の疎水性、塩基性および陽電荷の局在化に起因していると考えられる。同程度のイオン交換容量(IEC)で比較すると、トリメチルアンモニウム型が最も高い導電率を示した。膜の含水率は、導電率にほぼ対応しており、含水に伴うアニオンの解離と水和がイオン導電に寄与していることが確認できた。ヒドラジン水溶液中における加速劣化試験では、イオン交換基の種類にかかわらず全ての膜で機械強度が低下し、高分子主鎖構造の分解が起こったものと推察される。また、試験後ではイオン導電率と含水率も低下したことから、イオン交換基の分解も同時に起きたと考えられる。他方、KOH水溶液中では比較的高い安定性を示し、膜の脆化などは認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規アニオン交換膜の各種基礎物性を明らかにした。また、構造とイオン導電性、含水率、および耐久性の相関関係を明らかにした。次年度の燃料電池運転試験に用いるアニオン交換膜の基本構造を選定した。
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Strategy for Future Research Activity |
選定したアニオン交換膜を用いて、膜電極接合体を作製する。電極触媒層用のイオン交換バインダーには、市販電解質溶液あるいは膜と同じアニオン交換材料の溶液を用いる。具体的には、触媒(NiあるいはCoのナノ粒子を高表面積カーボンブラックに高分散担持したもの)と電解質溶液を混合したペーストを、パルススワールスプレーまたは転写(デカール)法でアニオン交換膜上に塗布する。これをガス拡散層(カーボンペーパー上に撥水化CBの層を設けたもの)2枚で挟持することにより、膜電極接合体とする。これまでの知見を活かせるように、燃料電池セルはプロトン交換膜型燃料電池で使用しいているものを適用する。温度(室温~80℃)、燃料・酸素利用率(5~70%)を変化させながら、水素(またはヒドラジン水溶液)/酸素(または空気)を用いたアルカリ形燃料電池を運転する。カソード・アノード各電位、セル抵抗を独立に評価しながら電流電位特性を測定する。
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Research Products
(15 results)