2012 Fiscal Year Annual Research Report
擬ブルッカイト型構造を有する低熱膨張・環境調和型セラミックス多孔体の応用
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23350100
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鈴木 義和 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (40357281)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 擬ブルッカイト / 二チタン酸マグネシウム / 三次元ネットワーク型多孔体 / X線吸収スペクトル / その場合成 / ディーゼル粒子除去フィルター / 浄水フィルター / 軽量構造部材 |
Research Abstract |
本研究の目的は、二チタン酸マグネシウム(MgTi2O5) を中心とする擬ブルッカイト型構造を有する三次元ネットワーク型多孔体について、「MgTi2O5 多孔体の基礎物性評価」、 「MgTi2O5 を主成分とする擬ブルッカイト系の展開」、さらに、「信頼性・環境調和性・コストを含めた部材応用の高度化」の3つの項目について研究を実施し、低熱膨張・環境調和型セラミックス多孔体の応用を目指すものである。本研究での材料系はMgO、TiO2 など資源的・地政学的リスクが少なく、安全かつ比較的安価な材料を用いていることが特徴であり、資源に乏しいわが国にとっての意義は大きい。 平成24年度の研究実績については以下のとおりである。 1.MgTi2O5 多孔体の基礎物性評価について、焼結温度を変化させ測定したX線吸収スペクトルデータ(SPring-8)を解析し、擬ブルッカイト構造の局所変化について詳細な考察を行った(Adv. Eng. Mater., 14 [12] 1134-1138 (2012))。 2.MgTi2O5 を主成分とする擬ブルッカイト系の展開について、浄水フィルターへの応用を検討するため、実際の浄水プラントの視察・考察を行った(セラミックス、47 [9] 698-699 (2012))。 3.擬ブルッカイト構造を有するAl2TiO5多孔体について、「造孔剤を用いた細孔径制御」および「その場合成」による部材化を検討した(それぞれ投稿中)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「MgTi2O5 多孔体の基礎物性評価」、 「MgTi2O5 を主成分とする擬ブルッカイト系の展開」、「信頼性・環境調和性・コストを含めた部材応用の高度化」の各項目で進展がみられている。部材応用については、海外の研究機関からの試料提供要請も寄せられており、応用研究としても進捗している。また、Al2TiO5系への展開も進んでいる。論文化については、投稿中のものを含むことから、②の区分とした。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定どおり、3年目では、以下の項目を実施予定である。 (1) MgTi2O5 多孔体の基礎物性評価:平成25年度は、機械的特性(特に高温特性)、熱膨張率等の気孔率に対する依存性を評価し、想定する用途に必要な物性を重点的に評価する。また、MgTi2O5多孔体では、個々の結晶粒がユニークな表面構造を示し、学術的にも非常に興味深い材料が得られている。平成24年度に引き続き平成25年度も、フランス・トゥーロン=バール大学のJean-Christophe Valmalette教授のグループと共同で、顕微ラマン-AFM複合解析を用いた結晶粒・ファセット毎の構造解析を行う予定である。 (2) MgTi2O5を主成分とする擬ブルッカイト系の展開:平成25年度はMgTi2O5-Al2TiO5固溶体系を中心として、さらなる性能の向上を図る。これと並行して、MgTi2O5-Al2TiO5以外の擬ブルッカイト系についても比較検討を行う。 (3) 信頼性・環境調和性・コストを含めた部材応用の高度化:平成25年度より、実部材応用に向けた試作を重点的に実施する。平成24年度で、排ガス浄化フィルターや水質浄化フィルター向けの予備検討を行ったことを受け、平成25年度では、実部材に近い形状、サイズでの試作を目指した検討を行う。また、国内・海外研究機関にサンプル提供を行い、多角的な評価を実施する。
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Research Products
(11 results)