2011 Fiscal Year Annual Research Report
気-液界面を起点として合成されるゼオライトAFIの配向自立膜
Project/Area Number |
23350107
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
小平 哲也 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 主任研究員 (40356994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 拓史 独立行政法人産業技術総合研究所, コンパクト化学システム研究センター, 主任研究員 (60371019)
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Keywords | 自己組織化 / 自立膜 / 多孔質結晶 / 配向膜 / AFI / 気-液界面 |
Research Abstract |
自己組織化過程により形成される多孔質結晶の一種AFIの自立膜は結晶c軸が膜と垂直方向に配向しており,膜化基板が無い水熱合成環境にて得られる。現時点では気-液界面が膜形成において重要な役割を担っていると考えられている。この配向自立膜の更なる最適合成条件を図ること,及び配向自立膜の特性解明と新規利用法の探索について,本テーマ初年度は下記の点について研究及びその準備を行った。 1)自己組織化過程の解明に向けて 気-液界面の2次元面が自立膜形成に寄与する反応過程を可視化するため,ガラス製水熱反応装置の立ち上げを行った。界面の状態を出来るだけミクロな領域まで観察するため,長作動距離型ズームレンズを使った観察光学システムの調整・立ち上げを行った。 2)配向膜の特性解明 配向性を定量的に評価するために,平行ビーム薄膜光学系によるX線回折,更にはSchulzの反射法による極点図測定を行った。その結果,結晶c軸は自立膜に対して90±10°に分布していることが明らかにされた。 3)配向自立膜の新規利用法 自立膜多孔質結晶はその機械的強度の不足のため,現時点では混合ガス・液体の分離・濃縮には適用しづらい。また,自立膜表面は多数の配向した多数の微小な結晶がそれぞれ独立に存在している形態であることが分かった。そのため,c軸と平行に1次元細孔が存在するものの,細孔内でなく主に結晶間をガス・液体が通過することになってしまう。そこで,有機-無機コンポジット自立膜とし,光学特性などへの展開を目指した。その結果,芳香族分子を細孔内に導入することに成功し,UV照射によって肉眼でも容易に観察できる程の強度を有する発光が生じることを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
配向自立膜合成その場観察用合成反応装置の仕様策定が遅れたために導入が遅くなった。更に,反応装置の実機に合わせてその観察システムの仕様決定と導入・調整がやや遅れる結果となった。また,自立膜の形態そのものの制御が難しく,結晶粒界を無視できる連続膜が得られておらず,次年度に予定しているガス等の分離の可否を評価する準備が整っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は実験補助員を雇用することにより,配向自立膜の最適合成条件探索や修飾実験を加速化させる予定である。
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