2011 Fiscal Year Annual Research Report
放線菌由来生体分子を用いた非対称ポリベンズオキサゾール液晶材料の創出
Project/Area Number |
23350112
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
金子 達雄 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 准教授 (20292047)
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Keywords | 放線菌 / 生体分子 / バイオプラスチック / 脱水縮合 / PBO / 液晶 / アゾメチン / 光学活性 |
Research Abstract |
本年度は放線菌由来抽出分子として3-アミノー4-ヒドロキシ安息香酸(34AHBA)と3-アミノー4-ヒドロキシベンズアルデヒド(34AHBAL)を用いて、その誘導体化および重合を行った。具体的な研究内容を以下に示す。 1、放線菌の培と培養液からの34AHBALの抽出:放線菌Streptomyces griceusの遺伝子組み換え体の培養液から34AHBALの抽出を試みた。抽出条件を色々と変化させたが、34AHBALを単離する際に、その重合体が混在することが判明した。そこで、やはり計画通りアミノ化合物との反応を行わせることで34AHBAL誘導体を得ることとした。 2、34AHBALとアミノ化合物との反応条件の確立:まず、34AHBALの酢酸エチル抽出液に過剰量のα-アミノ酸を加えてアゾメチン結合を形成させ、光学活性なo-アミノフェノール(34AHBAL-AA:キラルモノマー)を得ることを目指して研究を進めた。しかしアミノ酸を用いた場合には反応率は低かった。そこで、より高反応性のヒドラジンを用いて研究を進めた結果、34AHBALのアルデヒドがアゾメチンへと変化したことが判明した。現在、当該物質の精製と構造解析を進めている。 3、各種モノマーの溶性・融点などの基本物性評価と重合条件の確立:剛直モノマーである34AHBAの重合を非酸化性脱水溶媒(ポリリン酸)を用いて加熱重縮合する。アゾメチンの加水分解を抑制するために、段階的昇温で分子量を徐々に上げて重合を進めた結果、34AHBA由来のポリベンズオキサゾールが得られることが分かった。また、34AHBAの誘導体である3-ベンジリデンアミノー4-ヒドロキシ安息香酸の重合も可能であることが判明した。また、この誘導体と4-ヒドロキシ桂皮酸の共重合も可能であることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
放線菌Streptomyces griceusの遺伝子組み換え体の培養液から3-アミノー4-ヒドロキシベンズアルデヒドが抽出でき、その誘導体を合成する条件を見出した。また、それに類似した構造の物質の重合条件を明確にした。一方、誘導体の分離精製が困難であり、その重合条件を見出すには至っていない。以上の理由により課題(3)において未達の部分がある。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の目的である3-アミノー4-ヒドロキシベンズアルデヒド由来の非対称モノマーの合成精製および重合条件の確立に関してさらに研究を進める予定であるが、このモノマーが重合しない可能性も払拭できない状況であるため、同じく放線菌由来生体分子である3-アミノー4-ヒドロキシ安息香酸から非対称モノマーを合成し、このモノマーから別のポリベンズオキサゾールを合成する条件も並行して探索する。以上の2つのルートを進めることで目的の非対称ポリベンズオキサゾール液晶材料の創出を行う。
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Research Products
(5 results)