2011 Fiscal Year Annual Research Report
光応答性1次元フォトニック結晶の角度依存性改良と加筆可能型電子ペーパーへの応用
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23350115
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
栗原 清二 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (50225265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 穣 熊本大学, 自然科学研究科, 助教 (60347002)
金 善南 熊本大学, 自然科学研究科, 助教 (00612532)
緒方 智成 熊本大学, イノベーション推進機構, 准教授 (90332866)
尾崎 良太郎 防衛大学校, 電気情報学群, 助教 (90535361)
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Keywords | フォトニック結晶 / 1次元周期構造体 / 高分子液晶 / ホメオトロピック配向 / アゾベンゼン高分子 / ポリフマル酸エステル / ポリイタコン酸エステル / 構造色 |
Research Abstract |
ポリビニルアルコール(PVA)膜上で、加熱により垂直配向性を示すアゾベンゼン高分子液晶(PAzo)を用い、PAzoとPVAの膜厚を精密に制御して作製した構造色を示す交互積層膜は、加熱と光照射による構造色のOn-Off特性を示す。この構造色のOn-Offの可逆的繰り返し特性、メモリー性を利用した加筆消去可能な電子ペーパーの開発を目指し、本研究では、光応答性の向上と、視認性向上のための構造色の反射光角度依存性の解消を理論・実験両面から検討することを目的としている。 研究実施計画および結果 1、光応答性の向上に関する研究 (1)光・熱応答性に及ぼすスペーサー長効果:側鎖型高分子液晶の側鎖メソゲンの配向性は、主鎖と側鎖間のスペーサー長に影響されることが知られている。その効果を明らかにすることを目的に、種々のメチレンスペーサー長(2~11)を有する高分子を合成し、その液晶性、熱・光配向性を検討した。その結果、ヘキサメチレン基を有する高分子液晶の応答性が最も良いことを明らかにした。 (2)アゾベンゼン側鎖をより多く有する多置換ビニル誘導体からの高分子合成:アゾベンゼン側鎖の光異性化反応が光応答性および屈折率変化に寄与している。そこで、より多くのアゾベンゼン側鎖を有する高分子の性能を明らかにすることを目的に、ビニル基ユニットに側鎖置換基を2つ導入可能なフマール酸およびイタコン酸エステルのエステル残基としてアゾベンゼン誘導体を導入したモノマーを合成し、その重合により高分子を合成した。 2、反射光角度依存性の解消に関する研究 反射光の角度依存性解消を目的に、アゾベンゼン側鎖および親水性側鎖を有する高分子のブロック共重合体を合成し、その相分離による周期構造体の合成を試みたが、構造色を示す高分子を合成することができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スペーサー長効果について明らかにした。得られた知見をもとに、今後共重合体を合成し、光応答性の向上を図るための実験を進める。また、光応答性側鎖を多く有する2種類の高分子合成が終了したので、今後、合成した高分子の物性および機能性評価を進め、光応答性に及ぼすモノマーユニット当たりの光応答性分子数効果を明らかにする。共重合および光応答性分子数効果を検討することで、光応答性を向上できるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
反射光の角度依存性を解消するために、ブロック共重合体の合成を鋭意検討したが、本年度は、構造色を示すブロック共重合体を得ることができなかった。これまでの実験結果から、可視光域に反射光を示すブロック共剛体の合成は容易でないと判断し、計画を変更することにする。角度依存性を解消するための新たな方法として、マイクロリンクル構造を有する多層膜に関する研究を開始する。単層膜のマイクロリンクルに関する研究は報告されているが、多層膜に関してはこれまで殆ど検討されていない。そこで、多層膜におけるマイクロリンクル作製方法を検討するとともに、マイクロリンクル構造と反射角度依存性に関する数値計算による検討を実施する。
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Research Products
(14 results)