2013 Fiscal Year Annual Research Report
InGaAs系量子井戸におけるメゾスコピック・スピン輸送効果の検証
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23360001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
古賀 貴亮 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (30374614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川畑 史郎 独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 主任研究員 (30356852)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | スピン軌道相互作用 / ラシュバ効果 / メソスコピック系 / 弱局在 / スピントロにクス / AAS効果 |
Research Abstract |
今年度は、前年度に引き続き、メソスコピック系ループ配列構造に見られる時間反転経路間の干渉効果であるAAS振動の定量的シミュレーション法を洗練し、現時点ではベストのシミュレーション手法を確立したといえる。我々のメソ系ループ配列では、試料全体は200μm程度のマクロなサイズであるので、電子波動関数のコヒーレンスが試料の端から端まで保たれているわけではく、メソ系のトランスポートで多用されているランダウア公式を厳密に適用することはできない。そこで、弱局在/反局在効果の理論的帰結をトレースする形で、現象論的な位相緩和の長さを取り入れたマスター方程式を確立した。この方程式では、メソ系ループ配列構造内での電子スピン回転や磁場による波動関数の位相変化を取り入れた粒子のModified return probability densityを数値的に計算することにより、磁気コンダクタンスの時間反転量子干渉補正項を準定量的に計算することを可能としている。予備的な結果としては、スピン回転を決めるスピン軌道場と外部磁場という2つの外場の関数として複雑に振動する時間反転量子補正項の実験データを決定係数1に近い精度で再現できている。研究テーマのもう一つの柱である2重量子井戸を使ったスピンフィルタ実現に向けた実験では、ドーピングの異なる何枚かの2重量子井戸試料に関し、ゲート電圧の関数としてシュブニコフドハース振動を測定した。また、上側量子井戸を完全にディプリートした状態では、強い弱反局在効果が観察され、それらの実験結果の解析からラシュバ係数の大きさを見積もることもできる。非常に高濃度にドーピングした試料はラシュバ効果も大きくなり、スピンフィルタ実現には好都合であるが、緩和時間が極端に長い深い不純物準位が存在しているようで、それがゲート制御を困難にしている要因となっており、今後はこの問題の解決を図りたい。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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