2012 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスピン超構造を用いた位相同期型高出力発振・高感度検波素子の創製
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23360004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水口 将輝 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (50397759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 剛斎 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (40579611)
三俣 千春 独立行政法人物質・材料研究機構, 元素戦略磁性材料研究拠点, 企画マネージャー (70600542)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 磁性 / スピントロニクス / 高周波 / 発振 / 検波 |
Research Abstract |
本研究の目的は、多数の強磁性ナノドットからなる集合体をトンネル磁気抵抗素子上に作製し、発振強度および周波数選択性が十分高く、効率的なスピン発振・検波素子を創製することである。スピン発振素子の発振強度は、磁化の歳差位相が同期した素子数の二乗に比例するため、位相同期した発振素子数を増やす事が肝要である。同時に、検波素子としての性能を決める周波数感度を高めるためには、素子の形状ばらつきを可能な限り小さくする必要がある。本年度は、単一のGMRピラーを用いたスピントルク発振の実験的観測を試み、マクロスピンモデルとの比較を行った。その結果、強磁性電極にスピン偏極度の高い材料を用いることにより、高出力な発振現象を観測することに成功した。また、発振電流領域と強磁性電極のスピン偏極度との関係が明らかになった。続いて、LLG方程式に基づいた磁気共鳴に起因するスピントルク発振モデルの構築とその完成を目指した。その結果、発振に至る臨界電流と発振周波数を独立に制御することが可能なことが分かった。また、実効的なギルバート緩和は、スピン流の一次関数として導出されることが示された。さらに、MgO単結晶基板上へのCoナノドット集合体作製についても、実験的な検証を行った。その結果、Feナノドットの場合と比較して、ドットの平均サイズに顕著な差違が認められた。これらの知見は、来年度に行う予定である強磁性ナノドット集合体による高出力発振素子の作製に資するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験的な発振現象の観測と、その特性評価がほぼ計画通りに進んでいる。また、発振現象の理論構築も進んでおり、その進捗度もおおむね順調であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、実際にナノドット集合体をトンネル磁気抵抗素子上に作製し、スピン自励発振条件を明らかにしていく予定である。また、位相同期した場合のスピントルク発振の理論についてもさらに解析を進めていき、実験的に得られた位相同期状態が、理論的にモデル化されたそれとどの様に対応するのかを確かめる。また、スピン波が位相同期現象に与える影響を統合的に明らかにする。さらに、素子の集積性を確保することも重要な観点ととらえ、構造の最適化も行う。これらにより、素子性能の更なる向上を目指し、実用的なスピン発振・検波素子の完成を実現する。
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Research Products
(5 results)