2011 Fiscal Year Annual Research Report
パイ共役分子による低次元超格子ヘテロ界面構造とその電子状態
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23360005
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
解良 聡 千葉大学, 大学院・融合科学研究科, 准教授 (10334202)
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Keywords | 有機半導体 / 表面界面物性 / 電子分光 / 電子構造 / 有機ヘテロ超格子 / 有機単結晶 / 電荷移動度 / 分子間相互作用 |
Research Abstract |
本研究では極めて詳細な電子分光実験を通して、有機半導体薄膜の電子構造の観点から、その背景に広がる独特な電子物性を理解すべく研究を進めている。弱い相互作用で結ばれた分子性固体中の電荷の動きを如何にして捉えるか、電子論として如何に物理的に記述できるかが命題である。光電子分光法という古来の手法を高精度測定を通じて斬新に活用することにより、キャリア伝導機構の重要な因子である再配向エネルギーとトランスファー積分の両者に直接的に踏み込むことができる。 今年度の主な成果として、(1)有機超伝導物質ピセンの単結晶試料におけるエネルギー分散関係の決定(雑誌Phys.Rev.Lett.にて発表)、(2)有機半導体ヘテロ界面の結晶性と電子構造の相関(投稿中)、(3)配向単分子層薄膜における分子ダイポールを利用した分子メモリ機能の評価、(4)分子骨格の自由度とポーラロン結合エネルギーの評価、(5)分子双極子を有するパイ共役分子の吸着構造の定量決定、があげられる。特に(3)については、極性フタロシアニン薄膜の単分子配向薄膜を作製し、走査プローブ顕微鏡の探針を利用して、分子双極子ベクトルの反転動作を確認した。これにより超高密度メモリへの応用展開が期待できる(雑誌Smallにて発表)。(4)については高精度電子構造測定により、高移動度分子材料であるルブレンの再配向エネルギーを実験的に初めて検証したものである(雑誌Advanced Materialにて発表)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度当初計画の実験は実施でき、有機半導体の電荷輸送問題において多くの成果が得られたが、有機ヘテロ界面の電子構造については、想定した事象外の結果も現れており、明確な成果を見出すにはいたっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画どおり、装置の改造を進める。すでに設計の最終段階に入っており、作業は予定通りである。また新奇に観測されたヘテロ界面における電子構造の起源を明確にするために、新たに走査プローブ顕微鏡による表面二次元構造を決定するための実験を検討する。
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Research Products
(29 results)