2012 Fiscal Year Annual Research Report
結晶成長その場観察を可能とするX線回折測定装置の開発
Project/Area Number |
23360009
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田渕 雅夫 名古屋大学, シンクロトロン光研究センター, 特任教授 (90222124)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | X線回折測定 / X線反射率測定 / ヨハンソン分光結晶 / その場観察 / 稼動部のない測定 |
Research Abstract |
本研究では、既存の結晶成長装置などと組合せ可能なX線回折/散乱測定装置を開発し、新しいその場観察手法として確立することを目指す。そのために、新しく設計するX線集光光学系と2次元検出器(X線CCDカメラ)を用いることで、本研究で提唱する新しいX線回折/散乱測定系を完成させる。さらに完成させた測定系に、実際に結晶成長装置を導入することで本測定系が新しいその場観察装置として有用であることを示す。最終的には、新しく構築された測定系を用いて我々が行ってきた半導体結晶界面形成機構を明らかにする研究をさらに推進し、究極の界面形成を実現し、先端的なデバイス性能の向上に貢献することを目標とする。 初年度(平成23年度)にはプロトタイプの装置に用いた集光角の小さなヨハンソン結晶(集光角3度)を用いて研究を開始し、新たに設計/導入した集光角の大きい(6度以上)結晶を組み合わせて、中間焦点スリットを持つ入射光学系の初期の形を作った。 本年度は、作製された測定系の中に設置できる小型の超高真空蒸着装置を設計/作製し半導体結晶表面への金属元素蒸着過程のその場観察の準備を進めた。装置は、X線導入部と検出器側に Be 窓を備えるが、この点を除くと一般的な結晶成長装置などと同様の構成/構造を持ったものとし、汎用的な装置と組み合わせ可能なことの検証とした。この装置をヨハンソン分光結晶を1つだけ用いた光学系および2つの結晶を用いて中間焦点をもつ光学系に導入してX線反射率測定を試みた。結晶が一つだけの系での測定では、目的通り可動部なしで反射率測定を行うことができた。しかし、予想されたように、散乱光などのバックグラウンドが高く、質の良いスペクトルとはならなかった。中間焦点を持つ測定系では、中間焦点位置にスリットを置くことでバックグラウンドを大幅に下げることができると期待できる。現在はは光学系の調整中。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
達成度 80% : 目標としていたその場観察可能性を示すための超高真空蒸着装置は完成し、実際にラインに導入することができた(+40%)。この装置と実際のヨハンソン光学系で測定が可能であることを確認できた(+30%)。中間焦点を持つ光学系の構築が進行中(+10%)。2結晶の光学系が完成しておらず、実際に装置を置いた状態での性能確認ができていない点で 20%のマイナス。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、既存の結晶成長装置などと組合せ可能なX線回折/散乱測定装置を開発し、新しいその場観察手法として確立することを目指す。そのために、新しく設計するX線集光光学系と2次元検出器を用いることで、本研究で提唱する新しいX線回折/散乱測定系を完成させ、さらに完成させた測定系に、実際に結晶成長装置を導入することで本測定系が新しいその場観察装置として有用であることを示し、究極の界面形成を実現することで、先端的なデバイス性能の向上に貢献することを目標とする。 平成 25 年度は、これまでに開発してきた集光光学系と、2次元検出器を組み合わせて測定系の全体を完成することを第一の目標とする。さらに、この測定系に組み入れることを目標に24年度に開発したその場蒸着装置を組み合わせた測定を試み、本測定系が目的とする性能を発揮することを立証する。 研究は、これまでの研究で、集光用のヨハンソン分光結晶は2枚準備があり、この2つを組み合わせ、中間焦点スリットを導入することで、低ノイズの入射光学系を完成させる。また、X線CCDカメラを用いた検出系に関しては測定のための新たなソフトウエアの開発を含めて、短時間・高精度の測定が可能な測定系とする。 さらに、開発したX線集光光学系X線回折/散乱測定装置に、2枚のBe窓を有してX線導入および取り出しが可能で、装置内に組み入れられるコンパクトさを持った、真空蒸着装置を組み合わせたその場測定系を構築する。この測定系を用いることで、半導体結晶表面に超高真空中での蒸着で薄膜を形成していく過程での表面状態の変化を、X線回折測定、X線反射率測定、X線散乱測定を駆使して観察しする。これにより、本測定系が、当初目標としたように、結晶成長装置等と簡便に組み合わせ可能で、可動部を持たないにもかかわらず、X線回折/散乱測定を短時間で実行可能であるということを実証する。
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