2012 Fiscal Year Annual Research Report
大規模伝導計算による有機半導体のキャリア機構の解明
Project/Area Number |
23360018
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小林 伸彦 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (10311341)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 有機半導体 / キャリア / 伝導 / 理論 |
Research Abstract |
次世代電子デバイス材料として期待されている有機半導体のキャリア伝導機構の解明を理論的に行うことを目指している。構造が柔軟・フレキシブルで環境に優しい高性能有機半導体トランジスタの伝導機構の解析を行い、究極の高移動度キャリア伝導を実現するための材料・デバイス設計を行うことを目的としている。有機半導体は有機分子が弱く結合した分子性結晶であり、伝導機構解明には、その分子間相互作用、電子格子相互作用を定量的に精度良く見積もることが不可欠である。そのため、分子間相互作用を密度汎関数理論を用いた第一原理計算によって解析した。分子性結晶の分子間相互作用においてはファンデルワールス力が重要になってくるが、従来型の密度汎関数法ではその効果を精度良く記述することは難しい。そこで、ファンデルワールス力を考慮した電子状態計算を行い、ペンタセン、ルブレン、テトラセン分子の解析を行った。分子の並進運動、回転運動およびその異方性と温度依存性を解析し、Spring8による単結晶構造解析およびTLS解析による分子運動解析の実験結果と比較検討を行い、精度良く解析できていることを確認した。それを踏まえて有機半導体における分子運動の熱揺らぎを定量的に評価することに成功し、キャリアコヒーレンスと熱揺らぎの強い相関を明らかにした。さらに、時間依存波束拡散伝導法により、電子波束の時間発展計算と、荷電キャリアに伴う格子ひずみや分子の熱揺らぎを記述する分子動力学計算を連立させて解き、移動度に対する熱揺らぎの効果を定量的に評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
有機半導体のキャリア機構の解析を進めるにあたって、熱揺らぎの効果が重要なことがわかった。その効果を密度汎関数法を用いた詳細な計算によって取り扱い、伝導解析の理論的方法論が当初の計画以上に発展している。
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Strategy for Future Research Activity |
熱揺らぎの高精度な計算が可能になり、この効果を取り込んだ時間依存波束拡散法により様々な有機半導体のキャリア機構を解析し、バンド伝導からホッピング伝導までの理論的な解明を進める。
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Research Products
(21 results)