2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23360020
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
種村 眞幸 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (30236715)
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Keywords | ディスプレイ / ナノ材料 / トンネル現象 / 透明 / フレキシブル / イオン照射 |
Research Abstract |
来るべきユビキタス社会のディスプレイに求められるキーワードは、「透明」、「フレキシブル」である。本研究では、イオンビーム手法を用いた独自のナノ材料室温作製技術を用い、電界電子放射型の高可視光透過率の、「フレキシブルで透明なディスプレイ」の開発を目的としている。本年度の具体的成果は以下の通りである。 1)実験システムの設計・制作:設備の有効利用の観点から、現有イオン照射装置を活用し、そこに各種ガス源等の追加改良を行うと共に、導電性制御、蛍光体開発を行うための成膜コンポーネントを有する、「フレキシブル透明材料作製システム」の設計・製作を行った。 2)全体システムの組立及び調整:試作したフレキシブル透明材料作製システムの動作確認・調整を行った。蛍光体開発では加熱処理も必要となるが、基板加熱温度1000℃の設計値動作を確認した。 3)最適サイズの理論的導出:電界電子放射素子では強い電界集中を実現するために突起構造を必要とする。他方、突起構造は可視光の散乱要因となり、透明度の低下を招く。そこでrigorous coupled-wave analysis(RCWA)法を用いたシミュレーションを行い、ナノ構造サイズと可視光透過率の関係を導出し、ナノ構造設計指針を得た。 4)最適イオン種の決定:従来使用してきたArの他に、Ne、Xeを用いて透明プラスチック基板上に垂直方向からイオン照射を行い、低質量イオン照射でナノ構造のサイズが大きくなる傾向にあること、イオン照射時間と共にサイズが大きくなる事を明らかにした。また、上記(3)の理論計算に基づいて垂直Arイオン照射によるナノ構造形成を行い、導電性処理後にも可視光の平均透過率が80%以上の透明フレキシブル電界電子放射素子が可能であることを実証した。 5)蛍光体膜の作製:ガラス基板上への酸化物系蛍光体膜の堆積を行い、C軸配向膜の形成条件を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載の事項が概ね実施でき、可視光の平均透過率が80%以上の透明フレキシブル電界電子放射素子を試作することができたことから。
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Strategy for Future Research Activity |
H23年度の成果を踏まえ、H24年度では、種々のイオン種、イオン入射角によって形成されたナノ構造体の電子放射特性を精査することで、最適照射パラメータを探索すると共に、導電性付与法を改善することで、更に高い可視光透過率と電子放射特性を有する電子放射素子を開発する。併せて、透明蛍光体の低温成長法に関する技術開発を行う。
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