2012 Fiscal Year Annual Research Report
ナノフォーカスX線源応用に向けた液体リチウム電子源の高輝度特性の実証化
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23360021
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
畑 浩一 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30228465)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | X線顕微鏡 / 液体金属電子源 / 電界放出 / リチウム |
Research Abstract |
X線源の高分解能化には,X線を励起する一次電子ビームの高輝度化および電子ビームを集束する電子光学系の性能向上が必須である.昨年度までに,液体リチウム電子源からの大電流放出は実証済みであるが,安定・長寿命化を達成するには動作圧力を超高真空(10-8Pa台)まで低減する必要がある.そこで,H23年度に作製したナノフォーカスX線顕微鏡と既存の液体リチウム電子源評価装置に,新規ターボ分子ドラッグポンプを搭載して,各装置内の真空度を高めた.電子源動作時のリチウム蒸発が寿命を決めるので,これまで逐次蒸着を行っていた.しかし,リチウム蒸着時の真空槽汚染が真空値を悪化させるので,リチウムのリザーバーとして下地タングステンにポーラス化処理を施した.その結果,液体リチウム電子源からの放出電流140μAで,逐次蒸着無しに3時間以上の安定動作を達成した.また,高分解能X線顕微鏡の基本動作特性として,液体リチウム電子源用に特化した独自設計のバトラーレンズの動作試験を行った.バトラーレンズは3枚電極で構成されており,中間電極の印加電圧で調整する電子ビームの輸送効率をターゲットに到達する電流量から検証した結果,シミュレーション通りに動作する事を確認した.今年度実施を予定していた電子ビームの集束状態を把握するための反射電子像の検出とイメージインテンシファイヤを用いたX線像の撮影に関しては,現在評価中でありH25年度も継続して実施する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リチウム蒸着による真空槽の汚染無しで3時間以上の安定したビーム形成を達成した.また,新規設計のナノフォーカスX線顕微鏡の動作特性に関しても,ターゲットまでの電流輸送効率を最大とするレンズ条件等を実験的にも実証済みである.
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Strategy for Future Research Activity |
超高真空対応二次電子検出器を搭載したナノフォーカスX線源 評価機の動作確認を行う.液体リチウム電子源を実機搭載して,ターゲットへ流入する電流量と反射電子像の分解能から,光学系の電流輸送効率,ターゲット状でのプローブ径を評価・検証する.また,高分解能X線像を取得するとともに,像分解能に影響を与える一因であるターゲット材料の選定を行う.
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Research Products
(1 results)