2012 Fiscal Year Annual Research Report
モノサイクル域光パルスのスピン軌道相互作用制御とその応用
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23360024
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森田 隆二 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30222350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 泰則 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00313106)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | モノサイクル光パルス / 軌道角運動量 / スピン角運動量 / スピン軌道相互作用 / レーザー加工 / 位相特異性 / 偏光特異性 / 光量子科学 |
Research Abstract |
本研究の目的は,光の持つ位相・偏光の空間的特異性に着目し,申請者らが現在までに独自に開発したモノサイクル域光パルス発生・制御技術,さらには光のスピン軌道相互作用変換・制御技術を用いることにより,1) モノサイクル域「光渦」・「偏光渦」パルスの高効率発生を行うこと,2) モノサイクル域光渦・偏光渦の極限時間域において環状ビームである特性,光のスピン軌道相互作用を利用した閉ループ時間分解非線型分光の手法を確立すること,3) 同上特性,光のスピン軌道相互作用を活かして,プラズマ制御・レーザー加工への応用を行うことである。本年度は,超広帯域コヒーレントフェムト秒位相・振幅制御技術として,特に,軌道角運動量を自在に変化できる高出力超短・超広帯域光渦パルスを発生法,また光渦を用いたポンプ・プローブ四光波混合信号に対する精度良い軌道角運動量変換法の確立,およびスピン軌道相互作用によるカイラルナノニードルの作製を行った。 1.ホログラム対を用いた4-f光学系と光パラメトリック増幅とを組み合わせた高出力超短・超広帯域光渦パルス発生システムを構築した。これにより,ホログラムの回折効率の低さを補いながら,空間分散がなく,かつ軌道角運動量可変の高出力超短・超広帯域光渦パルスの発生に成功した。 2. 異なる軌道角運動量をもつ光渦を用いたポンプ・プローブ四光波混合信号に対する軌道角運動量スペクトル分解測定法において,発生信号の軌道角運動量スペクトルのサイドバンド発生の原因を明らかにした。これにより,光渦パルスをポンプ光に用いたGaNの四光波混合を通して,精度良い軌道角運動量変換法を確立した。 3. 軌道角運動量およびスピン角運動量を制御した光渦パルスを用い,金属のアブレーションを行い,ナノメートルサイズのカイラルニードルの作製に成功した。これは光のカイラリティを物質構造に転写した初めての実験例である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
独自に開発した軌道角運動量分散・偏光分散・空間分散のない光渦・偏光渦発生系および自在に偏光を制御できる超広帯域偏光渦発生光学系とを組み合わせた光学系の新たな拡張として,ホログラム対を用いた4-f光学系と光パラメトリック増幅とを組み合わせた高出力超短・超広帯域光渦パルス発生システムを構築し,これにより,ホログラムの回折効率の低さを補いながら,空間分散がなく,かつ軌道角運動量可変の高出力超短・超広帯域光渦パルスの発生に成功しているため。この成果は本研究で重要な新たな基盤技術となる。また、 軌道角運動量およびスピン角運動量を制御した光渦パルスを用いた金属のアブレーションにより、光のカイラリティを物質構造に初めて転写したナノニードルの作製に成功しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に開発したモノサイクル域光渦パルス発生技術および平成24年度の開発した軌道角運動量可変の高出力超短・超広帯域光渦パルスの発生技術を十分に活用し,1) 極限時間域光渦・偏光渦パルスによるレーザー加工実験,2) 極限時間域光渦・偏光渦パルスによる閉ループ時間分解非線型分光実験,3) 極限時間域光渦・偏光渦パルスによる物質との非線型相互作用実験を推進する。
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