2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23360025
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小山 裕 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80169367)
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Keywords | テラヘルツ / 結晶成長 / ストイキオメトリ組成制御 / 非線形光学 |
Research Abstract |
本年度は、(1)既存GaSe結晶成長装置の整備と結晶成長実験の開始、及び(2)市販GaSe結晶を用いた同軸位相整合によるテラヘルツ発生特性の詳細を調査した。(1)既存GaSe結晶成長装置は、結晶成長部、溶液中の温度差、そして蒸気圧制御用金属Se部温度を設定する事が可能である。本年度は、地震対策とともに万が一のSe金属蒸気暴露に対処する安全対策を講じ、温度制御部を改良して各温度の安定性を高めた。 既存結晶成長系の整備の後、約2週間の結晶成長実験を開始した。石英アンプ封じ切り直前のSe酸化物除去工程の最適化等により、透明性が高いバルキーなGaSe単結晶を蒸気圧制御温度差液相成長法で得た。X線回折法で、4種類のGaSeポリタイプの内、イプシロン型の単一相であることが分かった。また板状結晶の主表面が0001面であることも確かめられた。更に背面反射ラマン分光測定結果からも、イプシロン型単一相のGaSe結晶であることが確かめられた。赤外・可視光吸収測定からGaSeの直接遷移禁制帯幅に対応する約2.2eVの吸収端が得られた。加えて、我々の連続周波数可変テラヘルツ光源を用いたテラヘルツ帯域吸収測定を行ない、融液成長法のブリッジマン法で成長された市販結晶よりも良好な透過率を有する結晶である事が明らかになった。 (2)市販GaSe結晶を用いたNd:YAGレーザ励起1.2ミクロン帯クロムフォルステライト波長可変レーザ励起による差周波混合法を用いたテラヘルツ波発生特性を調査した。同軸位相整合角を変化する事で、約0.7から10THzを発生出来る事を確認した。しかし、10THz超の周波数帯域では、結晶保持ジグ形状を改良する必要がある事が分かった。また、連続波CW近赤外半導体レーザを励起光として用いた発生予備実験を行なった。励起近赤外光を絞る事で近赤外光も結晶内で大きな発散角を持つ事となり、発生テラヘルツ光との分離が困難であった。そのため、近赤外励起光を平行光としてビーム径を絞る必要がある事が分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存GaSe結晶成長装置の整備及び結晶成長工程の精査を伴う成長実験を開始した。また同軸位相整合によるテラヘルツ波発生光学系の構築と発生特性の詳細を調査及び高周波テラヘルツ波発生とCW波発生実現のための問題点を調査する事が出来た事による。
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Strategy for Future Research Activity |
蒸気圧制御温度差液相成長でバルキーなGaSe結晶を得るためには、最低でも2週間程度の成長時間が必要である事から、結晶成長装置を増設する予定である。結晶成長では印加蒸気圧制御によるストイキオメトリ制御を重視し、結晶評価を進める。また、10THz超の高周波テラヘルツ発生のために、入射近赤外光及び発生テラヘルツ波の光路を考慮した光学ジグの制作を行なう。加えてCW波発生のために、平行微小ビーム径光学系を構築する。
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