2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23360025
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小山 裕 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80169367)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | テラヘルツ / 化合物半導体 / ストイキオメトリ制御 / 非線形光学 / 結晶成長 |
Research Abstract |
本年度は、①昨年度整備した結晶成長装置を用いての蒸気圧制御温度差液相成長実験の開始、及び②結晶成長装置の増設 ③GaSe結晶を用いた同軸位相整合による高周波THz発生系の構築とアミノ酸試料の高周波THzスペクトラム計測を行なった。①GaSe結晶成長は、本年度から基板結晶を用いたシーディングを行なっている。 約2週間の結晶成長時間で実験を開始した。石英アンプ封じ切り直前のSe酸化物除去工程の最適化等により、透明性が高いバルキーなGaSe単結晶を蒸気圧制御温度差液相成長法で得る事が出来た。基板結晶を用いる事無く単結晶成長が実現出来たが、これはGaSeの高い結晶非対称性に起因するものと思われる。X線回折法で、4種類のGaSeポリタイプの内、イプシロン型の単一相であることが分かった。更に板状結晶の主表面が0001面であることも確かめられた。その結果は背面反射ラマン分光測定結果からも、確かめられた。基板結晶を用いた成長では、基板結晶上にエピタキシャルに結晶成長する事が分かった。赤外・可視光吸収測定からGaSeの直接遷移禁制帯幅に対応する約2.2eVの吸収端が得られた。周波数可変テラヘルツ光源を用いたテラヘルツ帯域吸収測定を行ない、市販ブリッジマン法による結晶よりも高い透過率を有する結晶である事が分かった。 ②不純物添加と第三元素添加による混晶結晶成長実験を効率的に進めるため、結晶成長装置を増設した。基本的成長温度分布等の条件を確立し、予備的な結晶成長実験を行なった。 ③市販GaSe結晶を用いた高周波THzに特化した光源を構築し、これまで存在しなかった高周波THz領域のアミノ酸THzスペクトラム測定を行なった。従来法のFTIRと部分的に異なるスペクトラムが得られ、単色光励起の本手法と白色光励起で全振動モードを活性にするFTIRの違いが示された結果は重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たに整備したGaSe結晶成長装置の結晶成長工程の精査を伴う成長実験を開始した。成長装置も増設し、効率的な成長実験を進める事ができる。同軸位相整合による高周波テラヘルツ発生光学系の構築と、これまで無かった高周波THz領域のアミノ酸スペクトラムを計測する事が出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
結晶成長に関しては、層間結合を強め臨界せん断応力を高めて機械的強度を改善するため、第三の同族元素添加による三元系混晶結晶の育成を予定する。また、結晶の電気的特性の把握を行ないキャリア密度・移動度の計測を進めるとともに、キャリア密度を低減し赤外領域及びTHz帯の透明性を高めるために、深い準位の導入法として遷移金属元素不純物添加を行なう。 既に概ね把握している同軸位相整合条件を精査し、THz超の高周波THz連続周波数可変光源を構築し、更に広帯域のTHz分子振動解析を進める。
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