2012 Fiscal Year Annual Research Report
地球型の系外惑星探索をめざした天文コムによる高精度分光の研究
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23360029
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
黒川 隆志 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40302913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 淳 国立天文台, 光赤外研究部, 助教 (70280568)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 光周波数コム / 天文分光 |
Research Abstract |
光パルスシンセサイザ(OPS)と高非線形ファイバ(HNLF)を用いて、12.5 GHz間隔の広帯域周波数コムの発生を検討した。光源には周波数安定化LD(中心波長:1549 nm)を用いた。次にLN位相変調器2台を用いて、12.5 GHz間隔、51本の光周波数コムを生成し、OPSに入射してパルスを生成した。OPSはアレイ導波路格子(AWG)、強度変調器(IM)、位相変調器(PM)から構成される。AWGでコム成分が等間隔に展開され、51本の出力導波路に入射する。各導波路で強度・位相変調された後、AWGで再び合波することで任意波形のパルスが生成できる。 広帯域化のために、標準単一モードファイバと非線型ファイバを3段につないだパルス圧縮系を構成した。さらに、変調不安定性によって生じる雑音を抑制するために、ファイバ光増幅器とファブリーペローフィルタ(フィネス:200、FSR:12.5 GHz)を2段カスケードに接続して、パルスのピークパワーを150W以上まで増幅することに成功した。その結果、1.25~1.75 ミクロンの波長域に渉る広帯域なSC光発生に成功した。 周波数安定化レーザーは、HCNガスにより安定化し、ヘテロダイン法により周波数安定度の確認実験を行った。その結果、48時間で1MHz以内の安定度を確認した。 また、分光系を試作し、周波数コムを導入して、その分解能、安定度などの特性評価を行った。その結果、真空槽に設置することで、安定度を向上させることが必要なことが判った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の当初の課題は、次の3点であるが、それぞれの課題について、ほぼ当初の目標を達成している。 (1)天文コムの広帯域化:目標は周波数間隔12.5GHz、波長帯域1300-1750nmである。パルス圧縮系の導入と、ファイバ光増幅器とファブリーペローフィルタ(フィネス:200、FSR:12.5 GHz)を2段カスケードに接続して、パルスのピークパワーを150W以上まで増幅することにより、周波数間隔12.5GHz、波長帯域1250-1750nmを達成した。また、雑音特性についても十分に抑制可能なことを示した。 (2)天文コムの絶対周波数確度および周波数安定化:当初の目標は、周波数安定度0.2MHzである。半導体レーザーをHCNガスにより安定化し、ヘテロダイン法により周波数安定度の確認実験を行った。その結果、48時間で1MHz以内の安定度を確認した。 (3)分光試験器の試作:分光試験器を試作し、周波数コムを導入して、その分解能、安定度などの特性評価を行った。その結果、真空槽に設置することで、安定度を向上させることが必要なことが判った。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、より一層の広帯域化、周波数安定度の向上、天文コム発生装置と分光試験器を組み合わせた環境試験を含む総合性能の評価を行う。その結果をスバル望遠鏡に搭載予定の実機設計・製作へフィードバックする。 広帯域化のためには、非線形ファイバの最適長、最適特性を検討する。また、ファイバ融着などにより、ピークパワーの向上を図る。 半導体レーザーの周波数安定化については、フィードバック回路の最適化と温度の制御により、0.2MHz以下の安定化を図る。 分光試験器は真空槽に設置することで、安定度を向上させることを検討する。天文台の分担者と連携して、これらの方策を進める。
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Research Products
(10 results)