2011 Fiscal Year Annual Research Report
半導体量子ドット-フォトポリマーコンポジットによる非線形フォトニック材料の創成
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23360030
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
富田 康生 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 教授 (50242342)
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Keywords | 量子ドット / ナノ材料 / 応用光学・量子光工学 / フォトポリマー / 非線形光学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、光重合で大きな屈折率変化が生じるフォトポリマー中へ量子サイズ効果で増強された光非線形性を持つ半導体CdSe量子ドットを高濃度に分散した半導体量子ドットーフォトポリマーナノコンポジットを実現し、ホログラフィック光重合を用いた半導体量子ドット分布の一括アセンブルによる非線形フォトニック結晶構造の形成が可能な非線形フォトニックナノ材料を創成することにある。 当該年度では、イオン液体モノマーへの半導体Cdse量子ドットの分散を1vol.%まで可能として高濃度分散を実現した。また、LEDの一様露光により均質に光重合した半導体CdSe量子ドットーフォトポリマーナノコンポジットを実験試料として用い、波長532nmのピコ秒Nd:YAGレーザーを用いたZ-scan法によりその非線形電気感受率の入射光強度依存性と半導体CdSe量子ドット分散濃度依存性を測定した。その結果、非線形吸収効果は過飽和吸収特性でよく説明できることを示した。一方、非線形屈折率効果は3次および5次の効果が支配的であることも示した。さらに、測定された高次光非線形性を確かめるために、縮退多光波混合法により自己回折現象の観測を試みてZ-scan法で得られた3次および5次の光非線形に起因する自己回折光の発生を観測した。また、非線形電気感受率の半導体CdSe量子ドット分散濃度依存性の測定からぐナノコンポジット構造による局所電場効果に起因する微視的カスケーディド効果が生じていることを見出した。加えて、ホログラフィック光重合により半導体量子ドットーフォトポリマーナノコンポジット中に透過型Bragg格子奪形成し、概コンポジットが持つ光非線形性による非線形Bragg回折を観測して、その入射光強度依存性について詳細に究明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに導体CdSe量子ドットを高濃度に分散した半導体量子ドットーフォトポリマーナノコンポジットの作成を達成し、それを用いた概コンポジットの非線形光学効果について明らかにすることができた。特に、Z-scan法により5次の光非線形性が発現することを見出し、それを縮退多光波混合によっても実証できた。加えて、非線形Bragg回折の観測にも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は計画通りに進んでおり、今後は予定通りに非線形フォトニック結晶構造形成による非線形応答を実験的及び理論的に究明する。また、当該年度より予定通り実施している高分子ソフトマター系の相転移ダイナミクスと秩序形成過程の理論的解明についてもナノ微粒子分散の効果を考慮したモデル化を行い進めていく。
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Research Products
(5 results)