2011 Fiscal Year Annual Research Report
深紫外光による表面プラズモンの励起とその応用に関する研究
Project/Area Number |
23360031
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
川田 善正 静岡大学, 工学部, 教授 (70221900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
居波 渉 静岡大学, 若手グローバル研究リーダー育成拠点, 特任助教 (30542815)
千葉 明人 静岡大学, 工学部, 学術研究員 (30435789)
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Keywords | 表面プラズモン / 深紫外光 / 光電子 / 自家蛍光 / 光学顕微鏡 / 電場増強 / 貴金属 / 薄膜 |
Research Abstract |
本研究では、深紫外領域において表面プラズモンの励起法を開発するとともに、その励起特性を解明し、深紫外プラズモニクスの新しい応用分野を開拓することを目的として研究を行なった。深紫外領域で表面プラズモンを励起するための材料の検討、励起方法の最適化を行ない、金属表面からの光電子放出の増大、生物試料の自家蛍光の励起への応用展開を目指して研究を進めてきた。今年度は、アルミニウムの製膜方法の最適化および膜厚の最適化を行なった。 これまで光励起による表面プラズモンは、その電場増強効果を用いた高感度光センサーなどの開発が進められてきた。これまでの表面プラズモンの励起には赤色から近赤外光が広く用いられてきた。これは、金や銀などの一般的な金属がこの波長域でプラズモンを励起するのに良好な特性を示し、効率良くプラズモン共鳴を励起することができるからである。これまで深紫外領域における表面プラズモンはほとんど研究されてこなかった。 様々な金属材料について、多層膜構造の反射率をフレネルの反射係数を利用して計算し、表面プラズモンの励起特性について検討した。その結果、比較的利用しやすい金属として、アルミニウムが深紫外領域において良い励起特性を示すことを発見した。アルミニウムの金属膜厚を数値解析によりもとめ、24nmで最もよい励起特性が得られることを明らかにした。 実際に石英プリズム上にアルミニウムを真空蒸着法により製膜し、理論解析と実験解析を比較検討した。その結果、アルミニウム表面が酸化されること考慮することにより、理論解析と実験結果がよく一致することを明らかにした。また、アルミ薄膜上に蛍光色素を塗布して表面プラズモンを励起し、蛍光が増強することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アルミニウムを用いて、深紫外光による表面プラズモンを励起する事に成功しており、理論結果と良い一致を得ている。励起条件の最適化のため、基礎実験を順調に進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
H23年度に行った基礎実験と理論解析を比較検討し、解析手法の評価、改良を行う。開発した基礎実験システムについても、理論解析結果との比較から、システムの問題、高精度化のための問題点、膜厚制御法の改善など、システム全体の再検討を行う。
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