2012 Fiscal Year Annual Research Report
超短パルスレーザー励起ナノ構造生成のアト秒ダイナミクスとその応用
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23360034
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮崎 健創 京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (50293957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮地 悟代 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助教 (30378905)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | フェムト秒レーザー / アブレーション / ナノ構造 / 表面プラズモン・ポラリトン / 近接場 / アト秒 / レーザープロセッシング |
Research Abstract |
本研究の目的は,超短パルスレーザー照射による固体表面でのSPPの成長と緩和過程をアト秒時間分解能で追跡し,ナノ周期構造形成過程に関する独自モデルを実験的に検証することによって,レーザーによる初めてのナノプロセッシング手法を開拓することである。 H24年度には以下の研究を行った。回折測定装置を開発し,サブミクロン間隔の格子を付与した金属と半導体表面を標的として反射率と回折特性変化を測定した。ポンプパルスとして基本波 (~800 nm) 及び第三高調波 (~ 267 nm) を用いて,レーザーフルーエンスを変化させて,反射率と回折特性の角度分布を測定し,金とSi表面においてプラズモン・ポラリトンが励起されることを確認した。また,fs秒レーザーポンプ・プローブ実験装置を用いて,これまで未解明であった低フルーエンスの複数fsレーザーパルス照射の効果を解明した。 ナノ周期構造形成過程のモデルを基に,相互作用過程を制御して固体表面に均一なナノ格子構造を創製するための2段階アブレーション手法を開発した。同手法を大気中のGaN結晶に適用し,均一な周期間隔を備えたナノ格子の創製に成功した。実験結果から,fsレーザーで単一モードのSPP定在波が励起され,周期的な近接場によってアブレーションが誘起されたことを検証した。 以上により, SPP励起を制御して均一なナノ格子が形成できることを実証した。本成果を基に,任意の周期ナノ構造を形成するためのレーザープロセッシング手法の開発に向けた指針を明確化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標をほぼ達成し,金属と半導体標的について周期ナノ構造形成の主な物理過程を解明すると共に,非熱的な構造形成過程の条件を解明した。2ステップのアブレーションによってSPP励起過程を制御することにより,大気中,マスクレスで固体表面に均一なナノ格子を直接創製する手法を開発した。なお,過渡回折によるSPP励起過程の時間分解測定の研究を継続すると共に,アト秒計測装置をほぼ完成させた。
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Strategy for Future Research Activity |
5 fsレーザーで発生させたコヒーレントEUVパルスを用いて,SPP励起・緩和過程の時間分解計測を行う。結果を用いて,周期ナノ構造形成過程の制御とそれを利用した完全ナノ格子加工手法の基礎を確立し,周期間隔~ 200 nm以下のナノ格子・ナノドットを設計・加工できるレーザープロセッシング手法の開発研究を行う。
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