2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23360039
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
琵琶 哲志 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50314034)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 熱音響自励振動 / 衝撃波形成 / フィードバックによる自励振動抑制 |
Research Abstract |
熱音響自励振動は,液体ヘリウム配管における不安定振動や,燃焼ボイラーにおけるレイケ管現象など,迷惑な現象として知られている.だから自励振動を抑制する手法を開発することは重要な課題であると考えた.そこで,フィードバックを利用して熱音響自励振動を抑制することを試みた.気柱管に取り付けた圧力トランスデューサーからの電圧シグナルをアンプで増幅するとともにディレイジェネエレータで時間遅れを発生させ,気柱共鳴管の一端に接続した音響ドライバーを使ってフィードバックした.ゲインと遅れ時間をパラメータとして振動抑制条件を探索したところ,気柱振動の周期のほぼ半周期に渡る広い遅れ時間範囲で振動抑制が可能なことが分かった.エネルギー流計測に基づいて振動抑制メカニズムを調べた結果,フィードバック系が音響負荷となることで振動停止に至ることを明らかにした. 熱音響自励振動をエンジンとして応用することを目指す場合には,なるべく大振幅音波を発生させることが重要になる.一様温度の気柱管では大振幅になると正弦波的な波形は大きく歪みやがて衝撃波音波に移行するので,それ以上に大きな音圧を実現するのは容易ではない.一方,気柱共鳴管における熱音響自励振動では,かなり大きな音圧が発生可能でありながら,これまで衝撃波音波は観測されていない.しかし,決して衝撃波が発生しない物理的根拠は明確にはない.そこで共鳴管熱音響自励振動発生装置において,連続的に装置寸法を変更可能にする工夫を施し,なるべく大振幅音波を発生可能な条件を探索した.その結果,一様温度の気柱管に比べて遥かに高い音圧領域において熱音響自励振動が衝撃波に移行することを観測した.この原因を基本モード及び高次モードに対する音響強度計測を通じて明らかにした.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目的としていたフィードバックによる熱音響自励振動を実現できた.またその基本的なメカニズムについても明らかにしている.一方,熱音響自励振動衝撃波の観測にも成功し,エンジンとしての応用を目指す場合の問題点の一つが明らかにできた.
|
Strategy for Future Research Activity |
フィードバックによる方法は熱音響自励振動を抑制する有効な手段であることは明らかであるが,ディレイジェネレータや音響アクチュエータなどの電気的,機械的部品を必要とする,そこでこうした機構を用いない方法として,熱音響自励振動装置を結合することで振動を抑制することを試みる.この方法は電気回路等ではoscillation deathとして知られているが,熱音響系に適用した例はまだない. 熱音響自励振動系では,カオス振動も観測されているが,この熱音響カオスは液体ヘリウム温度と室温という著しく大きな温度比の下で生じる実験条件に限られている.熱音響カオスが普遍的なものか,あるいはヘリウム温度という特殊事情に由来するのかは明らかになっていない.そこで室温にある熱音響系の一部分を加熱して,温度比が2から3程度の非平衡状態においてカオス振動が発生するかを検証する.
|
Research Products
(3 results)