2011 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー粒子可変ビームによるプラズマプロセス表面反応機構の解明とモデリング
Project/Area Number |
23360040
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
久保田 智広 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (70322683)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寒川 誠二 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (30323108)
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Keywords | 中性粒子ビーム / 共鳴遷移 / オージェ遷移 / イオンシース / エッチング形状予測 / オンウェハモニタリング / 紫外光スペクトル / 塩素 |
Research Abstract |
中性粒子ビーム装置を用いて、各種アパーチャ(開口率、アスペクト比)を変化させてシリコンエッチングの検討を行った。その結果、アパーチャ依存性・圧力依存性などのデータを取得することができた。 プラズマから照射されるイオンとグラファイト表面との相互作用について、第一原理理論計算を用いて検討した。塩素原子・分子の正・負イオンおよび中性粒子(Cl, Cl+, Cl-, Cl2, Cl2+)をグラファイト表面に衝突させる過程を計算した結果、イオンはある確率で中性化、中性粒子はある確率でイオン化することが分かった。とくに、負イオンは正イオンと比較して中性化率が高く、これは正負イオンの中性化のメカニズムが異なることによるものであることが分かった。負イオンとグラファイトは電子準位のエネルギー準位が近く、電子移動に伴う電子のエネルギー変化が小さいため、共鳴遷移による中性化が支配的であると考えられる。一方、正イオンとグラファイトの間の電子移動では電子のエネルギー変化が大きいことが分かった。また、正イオンにおいては励起準位への電子移動が見られる。これらのことから、正イオンの中性化はオージェ遷移によるものであると考えられる。 また、プラズマ-表面反応で重要な役割を演じるイオンシースについて、実験と計算の両面から検討した。まず、シース電位および厚さを測定するためのセンサを作製し、実証を行った。一方で、そのプラズマ条件においてサンプルに段差がある場合のエッチング形状異常を実験的に調査した。さらにセンサ測定値とエッチング形状とを結びつけるためにニューラルネットワークによる予測手法を確立した。 さらに、プラズマから発生する紫外線についても初期的な検討を行った。オンウェハ紫外線照射損傷センサを用いることで、一般的にGaNのエッチングに用いられるCl2およびSiCl4のプラズマから放射される紫外光のスペクトルの予測を行った。原子の電子遷移によって生じる紫外光ピークと、分子振動の影響を受けて生じるブロードな発光スペクトルとを測定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中性粒子ビームを用いたエッチング形状データ蓄積については、アパーチャ形状依存・圧力依存などのデータを取得するなど順調に進められている。また、理論計算による検討については、イオンとグラファイト表面の電子授受のメカニズムを解明し論文発表するなど成果として現れつつある。また、プラズマ-表面相互作用の解明に不可欠なイオン軌道・エッチング形状・紫外線スペクトルについても評価手法の確立・実証を進めており、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに確立・実証した表面反応測定手段を用いて、今後はさらに複雑な反応系における表面反応データを取得していく。一方で、データを説明する反応モデルについても検討を進める。
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Research Products
(6 results)