2011 Fiscal Year Annual Research Report
異種金属微細接合角部の電子流集中による原子集積と高度マイクロ・ナノ構造体の創製
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23360050
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坂 真澄 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20158918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村岡 幹夫 秋田大学, 大学院・工学資源学研究科, 教授 (50190872)
燈明 泰成 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50374955)
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Keywords | マイクロ・ナノ構造体 / エレクトロマイグレーション / 異種金属接合角部 / 原子集積 / ワイヤ / アレイ / 高機能断面 / 特性評価 |
Research Abstract |
1.異種金属接合角部における原子集積の理論解析 異種金属接合角部での電子流集中、ジュール発熱による温度分布、そしてこれらの影響による原子流束とその発散(単位時間、単位体積当たりの原子の蓄積量あるいは損失量)を解析し、異種金属境界面での原子の集積を理論的に求めた。これにより異種金属接合の場合、材料の組合せにより、角部近傍領域での原子集積が制御可能であることを理論的に明らかにした。 2.異種金属微細接合角部を有する新規サンプルの作製 マイクロ・ナノ材料の創製には、サンプル内に原子が集積しやすい箇所を設けることが得策である。ここでは異種金属微細接合の前段階として、単一元素金属からなるサンプルに急激な形状(幅)変化を導入し、原子集積へのその寄与について検討した。同サンプルにおける温度分布を評価して、電子流の場所による急激な変化と共に原子集積に寄与することを考察し、並行してサンプルを作製して、形状の急変部において原子の集積が起こることを実証した。ここに先端径がおよそ10μmの極微小熱電対を自作して通電時の当該サンプルの温度分布を実測し、意図した温度分布が形成されていることを確認した。 3.金属微細ワイヤ/構造体アレイの実現 平成24年度に本格的に取組む当該項目の前段階として、2本の微細ワイヤを同時創製することを基本に取上げ、直列回路型試験体が適する理由を通電中の電圧計測を踏まえた原子排出孔間の相互作用に関する考察より詳細に明らかにした。また微細ワイヤ、構造体アレイの実現において重要な原子排出孔の付与方法に関して、酸化物ナノワイヤを当該孔の鋳型として用い、これを還元消失させる新規手法を考案した(特許出願)。この手法によれば、これまでの収束イオンビームを用いる手法よりも微小な孔を容易に作製でき、さらに微小孔のアレイ作製も可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載のとおり、申請時に計画した研究を遂行し、研究の鍵となる異種金属接合角部での特徴的構造に起因した原子集約を理論、実験の両面から検証した。さらに翌年度の実施項目に関して、複数の微細ワイヤを同時に作製する実験を開始し、また、酸化物ナノワイヤを鋳型として複数の微小孔を作製する手法も考案している。
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Strategy for Future Research Activity |
申請書に記載の計画のとおり、研究を推進する。平成24年度は、本年度の研究成果に基づき、長い金属マイクロ・ナノワイヤ、U字断面を有するマイクロ構造体や金属微細ワイヤ/構造体アレイなどの高度マイクロ・ナノ構造体の実現に注力する。平成25年度(最終年度)は創製したマイクロ・ナノ構造体から、申請者らがこれまでに開発しているナノ溶接手法、コイル形成における曲率制御手法、等を駆使して、電磁気的素子、力学的素子、熱的素子を創出し、その利用価値を見出すと共に、応用への弾みをつける。さらに効率的なマイクロ・ナノ構造体の創製と応用指針を策定して、当該分野の発展に貢献することを目指す。
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Research Products
(9 results)